道具シリーズ(11) 拡大鏡、顕微鏡
2022.05.22
拡大鏡、顕微鏡

若い頃は、拡大鏡なんか邪魔としか思ってなかった。肉眼で見えてるのに、なんで「わざわざ」拡大鏡を使えって言われるの?って。

当時20歳、若くて元気が有り余っていたナマイキなガキでした。

まだディップ部品(挿入実装部品)がメインだった頃です。チップは、まだ主流じゃなかった。

工場には簡易的なマウンター(自動実装機)しかなく、それも今から振り返ってみると動作が遅いもので、無いよりマシ程度ではなかったかと思います。
いまの主流のマウンターは、部品を置いていくところが見えないぐらい高速です。マルチヘッドだし・・・

当時のものは、プシッ、ウイーン、プシ、ウインウイン、・・・この「遅い」感じを文章でどう表現したらよいのかわかりませんが。
機械が1個つまんで(空気圧)、ウイーンと運び、基板上に置いていく(プシ)。プシというのはペプシじゃなくて、空気圧によって動いているわけ。

つまんで、と書いたけど実際には吸着ですね。吸って部品をノズルの先端にくっつけて、目的の場所に置く時には空気を吐き出す。

その装置はPC-9801VMで制御されていました。VMといっても、RXとかRAみたいな筐体だったのを記憶しています。VMといえばVX等と同様の昔の筐体だけだと思っていたけれど。Cバスにいくつか基板がささっていて、ケーブルがつながっていました。

当時作っていた基板は、チップは基板裏面のパスコンだけという基板も結構あって、それらはマウンターではなく、おばち・・・失礼、「年上の(きれいな)お姉さんたち」がピンセットで竹槍戦法・・・じゃなかった職人仕事をしていました。

要するに、ビンのフタにチップを取り分けて、ピンセットで1個ずつつまんで、クリームはんだ印刷済みの基板上の決められた場所においていく作業。

その作業を、我々(同期がいた)新人も経験させてもらったわけです。その時に、ライト付きの拡大鏡が有るから、それを使いなさいと。(内心: そのまま肉眼で見えてるのにいらないだろう、かえって邪魔)

それから幾十年! 拡大鏡、顕微鏡は欠かせなくなりました。(トホホ)

20代の頃でも、さすがにミクロの世界は肉眼では見えないので、「デンキのカホ」で買ってきたナショナルのライト付き顕微鏡を持っていました。これでEPROMの窓からのぞきこみ、あれっ、日立のROMなのに、ダイにはTIのマークが付いてるよ!という発見をしたりとか。
ROMライターを作っていたメーカーでしたから、そのことを先輩に聞いたところ、そういうのはよくあるらしいです。OEM供給でしょう。

後年、ニコンの実体顕微鏡の中古を見つけて買ったのでした。これは今でも愛用しています。愛用というか欠かせない。
もうひとつ、電気スタンドのような形の照明付きルーペ、これも顕微鏡ほどではない細かい作業には欠かせない。

若くて拡大鏡不要!と思っていても、自分のハンダ付けをルーペで拡大して細部をよく検討してみるとハンダ付けの上達につながるかもしれませんよ。
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