スイッチング電源を自作
2025.02.10
これはずいぶん前になるけど、スイッチング電源を自作したことは何度かある。仕事でも趣味でも。

昔から、電源の自作と言ったらいわゆるリニア電源(でっかいトランスと、でっかい電解コンデンサと・・・そしてアツくなる)がほとんど。

スイッチング電源は、便利なICも有るけれど、パワートランジスタ1個程度でもできる回路は有る。

トランスは自分で巻いて作るけど、これを敬遠する人は多いかも?知らないけど。確かに面倒くさい。だけどやってみると面白い。面白くないって?
リニア電源のトランスみたいに1000回とか巻く必要はない。せいぜい数回から多くて100回巻ぐらい。
エナメル線とかウレタン線を巻く場合は、絶縁のためにバリアテープを貼ったりするけど、それが面倒なら三層絶縁線を使うと良い。
だけど太目だから、たくさん巻くとボビンに巻ききれなくなったこともある。

場合によっては層間に銅箔テープを巻いてシールドしたり、巻くといっても一周させてつないでしまうとコイルをショートしたのと同じだからダメで、端をつながないようにしてアースを引き出す。

巻き始めも気をつける必要がある。一次側と二次側の巻き方向も重要で、当たり前で基本的な事なのだが、うっかり逆に巻いてしまったら動かない。とりあえずトランスをリード線で浮かせて配線をクロスさせて動かしたことも。(位相が逆になるから動かない)

昔の職場に電源の巨匠がいて、彼は某大手メーカーで携帯電話の充電アダプタを設計してきた人のひとりだったのだが、退職してきた。たぶん会社の方針が変わったんだろう。ちうごくに全部投げれば良いとか、そんな話になったのかな。ひどい話で。

ものすごく安く買い叩かれる商品だが、これを作るには大変な努力が必要だったという。当然だけど安全規格が厳しい。ノイズ対策も。
それから、使っていく中でクレームもある。枕元で充電しながら使っていると、チーとか鳴ってうるさい。こういった事にも対処していったという。

脱線したが、

私の昔の職場では、しゃちょーが電源の内製化にこだわっていた。なぜか? 我々にしてみれば、買ってきた方が安いし安全に使える。手っ取り早い。商品を早く市場に出すには電源をゼロから作るなんてとんでもない。

それほど台数が出るわけでもないからコストダウンも難しい。当然これらの不利な点は説明したが、頭コンクリで全く聞いてくれない。自分が絶対だと凝り固まっているから、何を言っても無駄。

電源から作らなければ自社製品ではない、などとおかしな精神論で、このために遠回りとなった。そんな中で、たまたま求人でその巨匠が応募してきたので迎え入れたわけだ。

電源以外にも独自性が出せる部分はいくらでもあるというのに。そもそもユーザーは中身なんか関心ないだろ。

私が関わる前は、大学を出たばかりの経験の少ない者にやらせていたが、製品で問題を起こしていた。この件で、しゃちょーと、なぜか入社したばかりの自分も同行させられ、某大手の誰でも知ってる色々とっても厳しいところへ頭を下げに行かされたのであった。

先方も、私のことを「つい先日入社されたばかりなのに、」と気の毒がっていたが・・・

私が入る前、しゃちょーは若いやつに精神論を説き、きみはやればできるはずだ、と発破をかけていたようだが、それで完璧な物ができれば苦労はしない。かわいそうに。失敗すれば責められる。その繰り返しだったようだ。最後は、お前やめろって辞めさせられた。

指導者が必要という事で私が引きずりこまれたわけだが・・・電源なんか作るものじゃなくて、買うものでしょ、というのが当時の自分で、指導をしろといっても電源については当時ほとんど何も知らなかった。

電源なんて回路は単純そうに見えるが、じつはアナログでノウハウの塊で、安全規格やノイズなども含めて相当難しい技術なのだ。

その巨匠と一緒に、シールドルームでノイズ試験に取り組んだが、たとえば発熱とノイズの両方を良い方に満足させる事はできない。
たとえば、MOSFETのゲート波形をなまらせれば高調波ノイズは減るけど、発熱は増える。ノイズレベルを見ながら、その妥協点を探っていた。抵抗やコンデンサを取り替えては試しの繰り返し。
あれを変えればこちらも変えるで、どんだけ手間がかかるんだよというぐらい手間がかかっていた。デジタル回路やマイコンみたいに、動いたらそれで終わりじゃないんだよ。

おっと、長くなりましたのでこのへんで一旦終わり。
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