基板設計CAD
2025.08.23
最初はCADも何もなく、銅箔基板にペンでパターンを描いてエッチングしていました。高校生の頃に「負帰還増幅回路」を作って、実際に通電して特性を測定する課題があったのです。
塗りむらが有るとそこだけ欠けたり、虫食いみたいになってしまうので、ペンをトントントンと軽く叩くようにしてインクを厚く載せていました。

その回路の抵抗値などをどうやって決めるかというレポートが大変だったのを覚えていて、全てについて計算式を書いていました。当時は、じつはあまりよくわかっておらず、特に苦手な数学の世界。

その前に、中学生の頃に買ったサンハヤトのキットは確かPK-3
シール式の台紙が有り、銅箔基板に貼り付ける。パターンを作りたい所をナイフで切り抜く。
切り抜いた凹みへ、ペンキのような液体を流し込んで乾燥させる。シールを剥がすと、パターンを残したい所だけペンキで保護されるから、ペンキのついていないところはエッチングで溶けてなくなる。あとはシンナーでペンキを除去して、銅箔を磨いてフラックス塗り乾燥させれば完成。
理屈は良いけど、実際にはあれこれ失敗したり、大雑把なパターンぐらいで細かいのは難しく、早々にあきらめてペンで直接描くようにしたような記憶です。
うまく切り込めずにシールが引っ張られる形でズレたりとか、角の切残しとか。

同じ基板を複数作りたかったら感光基板で、トレーシングペーパーのようなフィルムシートにレタリングで◯とか線を貼り付けてパターンを作り、ガラスで挟んで日なたで焼き付けていました。
しかし日なたでガラスを挟んでじっとしているのは、手が疲れるし、特に暑い時期は大変でした。
そのガラスだって、完全に平らだと思い込んで疑いもしませんでしたが、実際には歪んでいるのです。フィルムが基板に密着しないから、そこだけぼやけてしまってパターンがうまくできなかったりしました。

基板をあらかじめ必要なサイズに切るのは暗室での作業になるのだけど、そんな暗い場所で寸法をとってまっすぐ切るなんて大変。定規などで感光膜に傷をつけたりしました。
少々の無駄は考えず、サンハヤトのカットサイズそのままでとりあえず焼き付けてエッチングし、あとで切れば良かったのでしょう。

のちに社会人になってから、真空式のクランプ、ロボライト(電動で光源が往復)、エッチング槽などを揃えました。
ドリルは最初、イマイ?のボール盤キットを作って使いました。のちにサンハヤトのを買ったような。

それでようやくCADの出番になってきます。

I/O(雑誌)を見ると、X68000用だけれど基板設計ソフトが有り、このためだけにX68000を買おうかと迷った時期もありました。

そして当時のエレクトロニクスライフという雑誌に、KBANというフリーソフトが付属していました。これで基板のパターンが引けるという。こりゃあいい。
今のCADみたいに回路図とパターンが連動するとかそんなのじゃないです。穴や線が画面上で編集できるようになっただけ。それでも、手作業をしていた頃を思えば格段の差でした。
MS-DOS版でサクサク動いていたと記憶しています。これで雑誌に投稿する基板のパターンを描いたんじゃなかったかな。

ところが世の中はWindowsに移行、MS-DOSモードなら従来のKBANも使えたが、後にそれも難しくなり・・・
PCBEというフリーソフトが登場して、これを使うようになりました。
かなり複雑な基板もこれで描いて作れるようになり、しかもガーバーデータ出力で基板メーカーに製作依頼もできるようになりました。

しかし回路図と連動していない為、回路図のコピーをとって配線の済んだところを赤鉛筆で塗りながらという原始的なやり方で不便!

ようやくここでEagleと出会い、無料版では基板サイズの制限は有るものの、まともなCADでした。
使い方が最初ぜんぜんわからず、自分は覚えるのが苦手ですぐに忘れてしまいます。
解説書を買ってきて、さらに和訳の説明書も買って、ひとつひとつ手順を追って試すことを延々とやっていました。
その手順が確認できたら、紙に書いて目の前に貼っていました。
操作手順を全然覚えられないから、その紙を見ながら操作することを繰り返し、相当な時間をかけてようやく覚えてきました。

思い切って十数万円出して買ったのは、2005年頃だったか? ところが実際に本格的に使い始めたのは2007年頃からじゃなかったかな。何しろ使い方がわからなくて苦戦していた頃です。

KiCADを知ったのは2009年頃か、当時はよく覚えていませんがそれほど完成度は高くなかったような気がします。
いまでは十分すぎるぐらいでしょう。じつはそれほど使っていませんが、Eagleのファイルが読み込めるので、過去の回路図やライブラリの移行なんかもできるのかなと思います。
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