トランジスタと真空管
2025.12.23
初めてトランジスタを手に入れたのは、捨てられていたテレビの基板から。
手に入れた瞬間、全身に感動が走った。大げさって言われそうだけど本当。

グラグラ揺すって、しかしこの時にリードの基板側の根本にだけ力がかかるようにする。適当にやると部品側でリードが折れて台無し。
基板側の根本を支点に、トランジスタ側を大きく前後に倒す。リードを曲げないように指を添えながら。

何しろニッパーなんか持ち歩いてないから、使えるのは自分の手だけ。
(後に、ランドセルの中にニッパーやドライバーを常備するようになった。学校帰りのジャンク漁りは準備バッチリ)

昔の基板はトランジスタのリードが長かったのだ。微妙な記憶では1センチぐらい。だから再利用も容易だった。

そもそも壊れている可能性もあった。(故障したテレビだから)

リードの長いものは抵抗でもダイオードでも片っ端から外した。真空管のようにソケットから抜ける物は全て外した。
本当は丸ごと持ち帰りたかったが、子どもでは無理なので基板を取り外し、電線もできるだけ長く切って持ち帰った。

当時のトランジスタは例えば東芝の2SC372で、独特の形状をしている。シルクハット型だっけ。
ゲルマニウムトランジスタも結構あって、日立とか東芝の金属の円筒形のもの。
いまゲルマニウムトランジスタを欲しがる人もいるだろうけど、残念ながら当時のものはほとんど残ってない。

過渡期の製品だったのか、トランジスタと真空管が同居しているテレビも見たような記憶がある。

後に基板ごと持ち帰ってくるようになると、ハンダゴテでハンダをとかして部品を抜き取って集めるようになった。
振り返ってみると、ここで整理整頓まで頭が至っておらず、なんもかんもゴッチャ混ぜ。
集めた物を何に使うわけでもなく、いや、使ったとしても少しだったかな。

たいていは雑誌の製作記事通りの部品は無くて、とりあえず2SCまでは同じだから試してみよう、案外うまくいったりしたものです。

それは用途次第で、たとえば小さなトランジスタに豆電球を駆動させるような仕事は無理です。簡単なアンプとかタイマー、マルチバイブレータ(LED交互点滅)は、たいていなんでもOK。
高周波になるとどれでも良いわけではないです。

テレビのシャーシ兼放熱板にTO3形状のパワートランジスタがついていたのを流用し、電池式蛍光灯を作りました。

岩通の留守電にたくさん入っていた2SC815というのがあって、これは記事に良く出てくる2SC1815とどう違うんだ?と、番号が何となく似ているから流用してみようという感じ。

規格表、互換表なんて存在すら知らない頃ですよ。

たまたま記事に互換表と書いてあり、そりゃ何だ?というわけで、頭の中の想像ではポスターみたいな1枚の紙だろうと。いま思えば笑いますが、売ってる本とも知らないわけです。
それで通販でパーツを頼む時に、トランジスタ互換表を下さいって書いてみた。

そうしたら部品が届いた時にメモが入っていて、トランジスタ互換表というものがどんなものであるかという事実を初めて知ったというわけ。

しかしトランジスタなんて、どうしてこんなに種類があるんだ。メーカーそれぞれでいっぱい作っている。過去のものも置き換えなどで互換性を調べたいときがある。

大きく分けて2SA,B,C,D、現在はこの分類によらないものも多い。(昔の日本の規格)
その中で低周波用、高周波用、直流電流増幅率、流せるコレクタ電流、使える周波数の上限などの求めている項目で選んでいく。
たとえば、144MHz帯の送信回路を作るのに2SC1815ではftが80MHzだから全然足りないわけだ。マイクのアンプに使うなら良いけど、発振とか逓倍には向かない。(何も知らない頃に実際に作って失敗したから良く知ってる)
でも製作記事ではFMワイヤレスマイクに2SC1815を使ったよ。それでいいんです。あえて性能の足りないトランジスタを使い、強い電波が飛ばないようにする目的があったのだろうと思います。

ちなみに、
同じ型番のトランジスタを量産ラインで管理してたくさん作っても、それらは全て同じ特性ではない。半導体というものはバラツキがある。だから、たとえばhfeのランクを分けたりしている。
これはメモリとかLEDも同じようにばらついている。メモリならアクセスタイム等、LEDならランクがある。フォトカプラもそうだ。
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