道具シリーズ(10) テスター
2022.05.21
テスター、これが無ければ始まりませんね。とにかく電気というものは、そのままでは見えないから、計測器は必要です。
何ボルトなのか、何アンペアなのか、何オームなのか、・・・これらは測定するしかありません。

最初に買ったテスターは、ラジオの製作に広告が出ていた「カイセ」のSK-310でした。広告の中に「通販できます」と書いてあり、現金書留だったと思うけど送金すれば現品を送ってくれました。
小学4年か5年頃だったかなあ。

私は大馬鹿者ですから、抵抗レンジでコンセントにつっこんでみたりとか実際にやってみたんです。それで最初に買ったテスターは、なんとなく焦げ臭いのです。抵抗の焼けた、あのニオイ、わかる方にはわかるでしょう。

Hfeの測定ができるのは良かったです。ジャンクのトランジスタの良否をみるのにも活用できました。

そのSK-310を、社会人になるまでずっと使っていました。その後も、デジタルと併用しながら、新しい同機種を買って現在も持っています。

デジタルテスターを買おうと思ったのは、ROMライターを自作した時でした。正確な電圧をはかる必要があると思ったからです。実際はそこまで厳密じゃないかもしれないけど、ROMライターなんて作るのは初めてのチャレンジだったし、うまくいかない時は何が悪いのかわからないから、不安要素をなくしたかった。

教習の待ち時間(次の教習はx時間あけた後とか)に、自作ROMライターの回路を検討していてノートに回路図を描いていました。

社会人になってから教習所の夜間コースに通っていて、会社が休みの土曜とか、場合によっては検定のために欠勤して平日の昼間から行ったこともありました。
専門学校を卒業する前に、教習所に通って運転免許をとろうとしたが、とにかく私は苦手ダメダメで、しかも担当教官がひどい人で精神的にも追い込まれました。全然覚えきれないしうまくならないし、補習ばっかりで2段階を終えるのも無理。挫折してしまい、行くのをやめてしまいました。
将来の路上教習が怖かったのです。浦上自動車学校から坂を降りて、あの車がビュンビュン行き交う道路に自分の運転で出ろって!? タヒねと言うようなものじゃないですか、と当時は真剣に悩んでいました。

結局、免許を取るどころか仮免にも到達できないまま就職し、社会人1年目にして、再び教習所の夜間コースに通うことになりました。(最初いやだって逃げたんですが、職場の方々に圧力をかけられ、拉致同然で教習所へ申込みに連れていかれたのです)
全く初めてではなかったにしても、卒業までギリギリ半年ぐらいかかりました。

夏休みなんか、教習所で知り合いになった人が2週間ぐらいで卒業してしまったのです。なんでそんなに覚えるのが早いのだろうと・・・

テスターの話から離れてしまいましたが、仮免3回、卒業検定7回でようやく卒業できた次第です。どれだけお金と時間を費やしたか。意地になっていました。お金を突っ込んで意地になってやれば何とかなるだろうと。

ところで、デジタルテスターを買ってよかったのは、細かい数字が読めるようになったことです。電圧などの変化を把握するには、アナログの針のほうがわかりやすいです。導通チェックもアナログの抵抗レンジが良いです。
デジタルだと、赤・黒をショートしてほぼゼロオームになるまで、パラリ、パラリ、パラリ、パッ、と間が空きます。アナログだったら針がピッとふれるので早く作業が進みます。

デジタルマルチメータというものがありますけど、テスターの高級版という認識です。一般のデジタルテスターだと電池が切れるので、つけっぱなしにできないけど、デジタルマルチメータ(DMM)はコンセント電源で動きますから。
道具シリーズ(9) ニッパー
2022.05.21
ニッパーは・・・子供の頃にあったのは、それこそ使い古しの刃こぼれしたようなやつで、いま思えばよく切れなかったと思うけど、当時はそれしかないから比べようがない。
赤い柄で、高校生ぐらいまで使っていました。

その後、自分で買いに行って、新品ってこんなによく切れるものなのかと感動したものでした。当たり前だろうって言われそうだけど、何しろ初めてだったし。

ずっと使っていると、切れ味が落ちてくるのに慣れてくるんだろうね。

リード線の被覆むきは、被覆の上から軽く挟んで(この力加減が重要)、ピッとひっぱる。文字で書けば簡単だけど、経験のない方に伝えるのは難しいだろうな。

ワイヤストリッパなんかは、ずいぶん後になって導入したもので、値段を見るとなかなか手が出なかったものです。でも、思い切って買って間違いないです。もっと早く買っておけばよかったねと思う。

電子工作用のニッパーで禁じ手なのは、細い銅線以外を切る事です。竹串、つまようじは木なので問題ないと思うが、針金を切ったらダメ。刃こぼれする。

あと、ニッパーでナットをつかんで回したくなる事があるかもしれないけど、絶対ダメ。ただ、回しやすいのは確か。ナットは、ちゃんと専用工具で回すべき。でも手元に工具がなくて、刃こぼれしたニッパーを活用するのであれば、自由にやっていいでしょう。

刃こぼれは、刃をとじた状態で光に透かしてみて、刃の間に隙間が空いていればだめでしょうね。
薄い紙を切ってみるとか。

他人に自分の道具を貸して、刃こぼれして帰ってきたら最悪ですよ・・・!! 実際、複数回ありました。

ちょっと目を離したすきに、ニッパーでナットつかみ、ワイヤーストリッパーで針金切断。刃こぼれしたじゃないですかと抗議しても、ほら切れるじゃない、って見せられて・・・
いや違う、切れ味が落ちてるでしょうと言うけれど、そんなのわからん、って逃げられた。

「自分の道具は他人に使わせるな」 これは絶対ですね。

あと、職場のニッパーで爪切りすると怒られるかもしれないね。キムワイプで鼻をかんだりとか。鼻が垂れそうになり、たまたまティッシュが手元にないから手近なそれを使っただけ。

でも、職場には決まり事を作るのが好きな人(自分の使命と思ってるんだろうか、知らないけど)がいて、私がそれを実行した後、キムワイプを決められた用途以外に使うなという「おふれ」が出ました。

決まり事はともかく、紙が固くて皮膚に優しくないですから、鼻をかむのにはおすすめしませんね。
道具シリーズ(8) オシロスコープ
2022.05.21
道具というより測定器ですけど・・・

オシロスコープ、なかなか趣味では手が出ないものでしたが、現在では安価で実用的な物が出回っていて手が届くようになったと思います。

「ちうごく」メーカーの台頭ですね。日本メーカーが目立たなくなってきました。かつては、多くのメーカーがオシロを作っていたのです。菊水、岩通、KENWOOD(TEXIO)、松下、日立、リーダー電子・・・
いくつかのメーカーは、いまは中国メーカー製品を代理販売しているような感じです。特に安価なものはそうだと思います。

小学生の頃、「ラジオの製作」の丹治さんの記事で、ソ連製のオシロが紹介されていたのを今でも覚えています。当時ソ連といったら、鉄のカーテンの向こう側、謎に包まれていました。そして、なんでソ連製? その不思議さ、珍しさもあって、印象に残っています。
親に、買ってくれと頼みましたが、そんなもの何するんだと聞かれて却下。

測定器はテスターだけ、という時代が長く続きました。

工業高校の実習でオシロを使ったのと、あとは・・・あんまり覚えてないですね。ポケコンのブザー改造したやつから、実習中にこっそりオシロへ入力して波形を見てみたぐらい。

専門学校在学中、夜に本屋さんへ向かって歩いていたら、ゴミ集積場に何かの機器が落ちていて、なんじゃらほいと見たら真空管式のオシロ!! 近くにアマチュア無線をやっている方の住まいがあり、そこの方が捨てた可能性が高いでしょう。

大喜びで持ち帰り、下宿で電源を入れてみたら一応動きました。1chしかないけど、とりあえず使えるオシロが手に入りました。
これを自作Z80マイコンのハードウェアのデバッグに活用したりして、それなりに役立ったものでした。

社会に出て、自分で稼げるようになってから、「デンキのカホ」長崎店でオシロを買いました。20MHz、2chのアナログでした。6万円ぐらいだったか、忘れましたけど、それでも当時思い切った買い物でした。これを家まで発送してもらって、配達が楽しみで。

これもずいぶん役立ちました。ただ、波形を止めて見ることができない為、不満もありました。特にデジタルでは、何かの信号をトリガにして、その瞬間の波形をとらえたい時が多いですからね。

会社では、上司の指示で一番上等なオシロを使う時もありました。それには理由があり、トラブルの原因である波形を捉えるには、それを使う必要があったからです。
私が現場で使っていたとき、ちょっとトイレに行って戻ってきたら、なくなっているじゃないですか。何者かに盗まれた? 遠くに、台車ごと押していく先輩の姿が見えたので追いかけました。
「勝手に持っていかないで下さい。使っています」と言ったら、
「お前がこの上等なやつを使うのはナマイキだ」と言い返され、そのまま持っていかれてしまいました。
これを使えと指示してきた上司に訴えると、その先輩は注意され、オシロは戻ってきました。でも本人は不満タラタラで、やつあたりされました。

あと、次の勤務先からポータブルオシロを借りたりしたけど、でもすぐ必要になったので返却してくれと言われ、やっぱり自分の物じゃないから、オシロが使える夢の時間は短いものでした。

こりゃあ、買うしかないでしょう、と思ったわけです。

ちょうど岩通のBRINGOといって100MHz 2chのデジタルオシロが売り出されていました。プリンタ内蔵、フロッピー内蔵です。小さくて持ち運び便利。
これは確か30万円ぐらいだったのではないでしょうか。当時は安月給でしたから、とんでもない買い物でした。
でも、それなりに役立ってくれましたよねえ。どれだけ活用したかわかりません。

1回壊れて、表示が異常になりました。修理見積をメーカーに問い合わせたら、ビックリする値段で・・・いくらだったっけ。12万とか言われたのではなかったかと。(記憶は不正確かもしれないが、迷ってしまう金額だったのは確か)

修理といっても中身の基板をまるごと交換するもので、だから金額もそれなりに高いのですね。校正もオプションでしたが、それも含めたら、さらに高くなるのであきらめました。
1回は修理しようと考えて、修理依頼をしました。それから数年使った後に売ってしまって、その後、新しいデジタルオシロを買ったのでした。

中国製のやつ・・・画面は大きくて見やすいけれど、どこか変なやつでした。結局、数年後にテクトロを買ってしまったのですが、やっぱりテクトロは良いですね。
道具シリーズ(7) ハンダ除去
2022.05.21
いまでこそ業務で使用する為に、高価な機械を所有していますが、ここまでの道のりは遠回りで長かったものです。

部品を取り外すにはハンダを加熱して融かします。そのあとに、端子や基板の穴へ新しい部品を差し込もうとすると穴がハンダで埋まっています。これを取り除く必要があります。

つまようじや竹串を使い、ハンダが融けたところにそれらをつっこむと穴があきます。片面基板なら容易でしょう。両面基板だと辛い。

ハンダが融けたら、基板ごとパンと叩きつけて、ハンダを落とす。これは周囲が散らかるし、良いことはないんですが、ひとつの方法です。
但し、衝撃に弱い部品がのっている基板では、やってはいけない。(クリスタル等)

融けたハンダを100円玉の上に落とし、型取りする。(これは遊び)
けっこうリアルに型取りできると嬉しくなる。

ハンダ吸い取り線、これは現在も表面実装関係で普通に使っています。一般に売られているのは数メートルしか巻いてなく、すぐになくなってしまいます。使用頻度によるが・・・
子供の頃は、隣町か離れた市まで行かないと買えなかったから、その意味で貴重でした。

ハンダ吸い取り線が無くても、手近な電線(より線)を利用すれば良いです。電源コードなどに使っている線とか。それをむいて銅線をよじり、フラックスをしみこませれば代用品になります。

いわゆる、通称「すっぽん」
ポンプ式にハンダを吸い込む手動工具。安価なものから、ハンダゴテと一体になっているものもあります。
これはずいぶん使いました。スッと吸わせて、また押し込んで排出し、何度も何度も繰り返して指が痛くなったものです。

吸い取り機は電動で、ハンディ型と据え置き型があります。現在、どちらも持っています。片方が壊れてもバックアップできるからです。同じメーカー(白光)で揃えました。そうすれば、消耗品が共通に使える利点があります。

ハンディ型は比較的安価だけど、長時間の作業には向きません。ポンプまで一体化していますから、重くて手が疲れます。
仕事でたくさんの箇所を吸い取る場合は、据え置き型が向きます。手に持つ部分は軽いので疲れにくいです。

そのほか、これはハンダ除去というより部品はずし用ですが、ハンダつぼ、卓上ディップというものがあります。リード線やトランスの足の予備ハンダによく使われます。
卓上ディップは、ノズルの先端から融けたハンダが噴出するようになっていて、その上に基板のはずしたいICを持ってきます。すると全部のピンのハンダが融けますので、ピンセットなどでICを引き抜くだけです。
1ピンずつ吸い取り機で抜くより効率的で、熱が逃げてハンダが抜きにくい問題も少ないです。それでパターンを壊す可能性が低い。
道具シリーズ(6) ペースト
2022.05.21
電子工作でペーストは使用しない事になっています。あとで腐食したり、絶縁が悪くなってトラブルの原因になります。でも、はんだごてセットを買うと一緒に入っているので、使うものだろうと思ってしまうのですね。

小学生の頃、2石レフレックス(2T-100 ホーマー)の次に、6石スーパー(SP-6000 ホーマー)を作りました。
2T-100はずいぶん苦労しました。最初鳴らなくて・・・何が悪いやらわからない。いま思い出せばトランジスタの向きなど、いくつか間違っていたけれど、もうこれ以上間違いないという所まで手直しして、それでも鳴らない。困った困った困った。
神棚に上げて拝んでみたけれど、神様は修理してくれません。
「天は自ら助くる者を助く」
要するに自分で頑張れという事でした。
結局、バーアンテナの線の被覆削りが不十分だったんですけど・・・見た目では銅の色をしていますからなかなか見分けがつきません。
ちょっとした思いつきで、カッターの刃の背で線をこすってからハンダ付けしたら、鳴るようになったという、たったそれだけのこと。
まあ、それとペーストは関係ないんですけどね。

次のSP-6000を買った時に、今度は丁寧かつ慎重に確実に作業を進めようと決心したのです。説明書に書いてある通りに、手間はかかるけど、抵抗のリードを1本ずつ紙やすりで磨いてからハンダ付けした。
そこで、ペーストを使うとハンダがよく流れる事を知って、これは素晴らしいと感動し、とにかく塗りたくったわけですな。
こてを当てるとジュッと音がして、少々くさいけど、きれいにハンダが流れる。イモになりにくい。

最初の決心を貫徹したおかげか、一発で鳴りました。よかったよかった。この気持を大事にして精進しようと思ったか思わなかったか忘れたけれど。

ところが・・・・・・数日経過したら、ならなくなったのです。おかしいなあ。もう原因はわかりきってますが、ヒマでしたらおつきあい下さい。

最初ちゃんと鳴っていたから実装ミスじゃないな。だとしたら原因がわからないから、こういうのに詳しい親戚に聞いてみた。「トランスが断線してるんじゃないの」

えっ、トランス、断線??

テスターで導通をみたけれど断線していないようだ。そうしたら、何だろうな?わからん・・・

シグナルトレーサとかで回路を追ってみたらどうだろうとか、でも当時の実力じゃよくわかってなかったから、やっぱりわからない。

最終的にどうしたのか、肝心なところの記憶が消えてしまって思い出せないのだけど、ペーストが原因だったのは間違いありません。
ひととおり、ハンダゴテでハンダを融かし直してみたんだっけな。それか、溶剤でベッチョリペーストを洗い流したか。
とにかく鳴るようになって、ほっとしました。

もし(真空管回路などで)ペーストを使う事があったら、ごく少量だけ付けて、ハンダ付け後に溶剤で洗う必要があると思います。
それにしてもペーストの出番はないと思うんですがね・・・ハンダ付けしようとする端子や部品のリード線をよく磨いて、脂(フラックス)入りハンダを使えば十分です。
よくハンダが流れない場合、たとえばコテの熱量不足とか、コテ先が酸化していたりとか、そういった原因があるわけです。

あと、ペーストはどうしたっけ。
つまようじでちょっとずつ取って使っていたら、表面がでこぼこになるじゃないですか。それが気に入らなくて、ハンダゴテをつっこんで融かし、全体がツルンと平らになるようにして(遊んで)いました。
くさい煙がモクモク出るし、こて先は黒くなって傷むし、ろくなことはありません。

- CafeLog -