14,400bps
2024.11.22
'93年当時の最新モデムの通信速度は14,400bps

当時アイワのPV-AF144V5を6万も出して買ったのだが、うまくつながらなかったり途中で切れたりと問題が起きていた。高速だから通信は難しいのかなと最初思ったがじつは欠陥で、回路にミスがあった。一旦修理に出してから改善したが・・・
回路図の入手と、修理前・後の状態を比較して、どこがどうなったかを明らかにした。当時レポートとしてネット上に発表した。

続けて(ためしに)マイクロコアのMC14400FXを買ったら、これは何の問題もなく使えて、やっぱりこれだよと。

その次の世代のモデムは28,800bps、その次は33,600bpsだったと思うが、最終的には56,000bpsだったっけ。56Kと呼んでいた。しかし一般の回線では最大速度は無理。

28,800bpsが話題になり始めた頃、ちょっと興味があってソニーのSMD-280を買った。ところがこれは結果的にハズレだった。
V.FCというデファクトスタンダードを狙った通信規格だった。要するにフライングか。
規格が正式に決まったら、あとでROMを交換して対応するという話じゃなかったかと思うけど、結局そのまま使っていた。

MC14400FX以来マイクロコアが好きで、続けて同じメーカーのモデムを買い替えた。MC288XL、MC336XLだったっけ。

当時は家電各社やあまり聞いたことのないようなメーカーまでモデムに乗り出していた。アイワはオーディオかと思うけどじつは結構昔からモデムを作っていた。300とか1,200bps時代にも製品があった。

NEC、アイワ、マイクロコア(後にマイクロ総合研究所)、マイクロコム(紛らわしい)、ソニー、オムロン、パナソニック、サン電子、マイテック、ちょっと名前が出てこない・・・弱小メーカーまでモデムを売っていた。
マニアが好んだのは米国のUS ROBOTICS

どういうわけかNECだけは、他社が28,800bpsへ移行した中でもずっと14,400bpsのモデムの広告を出していた。何の雑誌だったっけ。たぶんアスキー。
組織が巨大過ぎて誰も気づかないのか、PC98が売れて余裕だったのか。そもそも保守的な会社だったのか。わからない。

いまの時代、
あえて1,200bpsといった遅い速度で通信してみるのも悪くないと思います。知らない方は是非体験を。
300bpsじゃないのかな、米国映画の「ウォーゲーム」
文字が流れる時のピロピロ、ピロロロロロ、って音が格好いいよね。
あれがいかにも通信しているって感じがして良いじゃないですか。
送出レベル
2024.11.22
マニアックな話題だが、当時は度々議論されたものだった。
「送出レベル」

これはモデムの送信信号の強さのこと。これをどの程度の加減にするか。dBmであらわす。
0dBmが最大で、一般のモデムのデフォルト値は-15dBmだった。ここから上げていく。

具体的にはSレジスタの91番に数字を設定する。
例) ATS91=**

自宅から電話局(交換機)までの距離によって、信号は減衰する。
距離といっても直線距離ではなく、電話線の長さだから、どこをどう通って(遠回り)くるかわからない。

数字をNTTから教えてもらえるのかというと、確かそんなのは無かったと思う。ADSLになってからは有ったようだ。線路情報開示なんとかってのが有った。

交換機に届く時点で信号の強さがどの程度だったら最適か、という話。その減衰した分を補う値に設定する。

この調整は工事担任者資格がないとできない事になっていた(私は資格を持っている)。
だけど勝手にやってもわからないし、設備に障害を与えてしまったりとか何もない。有資格者に設定してもらって、通信ソフトの初期化コマンドで毎回実行しているのが無資格者でも問題ないのか?と考えるとややこしい。

当時、工事に来られた方に調整をお願いできませんかと言ってみたら、なんか対応してもらえなくて自分でやってくださいと。(コマンド打ったりして面倒だからな)

まあ、当時でもその部屋を見ればどんな仕事(趣味?)の人物なのかひと目でわかったでしょうから・・・
別の部屋に配線を引き直す時、電話工事の料金が高すぎ!!と言ったら、自分でやってと電話線だけ置いて帰られました。

送出レベルの話に戻る。

あまり上げすぎてもかえって宜しくないとか、あれこれ言われていたりもした。
基本的には、減衰した分を補正すればいいんだけど、その加減が数値的にわからんもんな。

それに、相手側から来る信号はどうなるか。補正しようがないわけよ。

当時クロスバ交換機はほぼ無くなって、田舎だった私の住んでいた町も遅ればせながらデジタル交換機に切り替わった。(その通知のハガキがきた)

手動交換やクロスバは、基本的には発信者と着信者を直接つないで通話している。市外通話になると中継線やマイクロ波を通る。だから遠くなると聞き取りにくくなったりした。

デジタル交換機だと、家や事務所から来たアナログ回線が交換機に入った所でデジタル信号化される。PCMコーデックとか言うやつで、昔それで試作をした経験がある。
あとはデジタル信号で相手側の最寄りの交換機まで行き、交換機の出入り口のところでアナログ信号に戻されて、電話線を通り相手の家まで行く。

減衰したりノイズの影響を受けるのは家と交換機の間の電話線の区間。

ISDNになると、そのデジタル化の部分が家に置かれるわけだ。DSUとTA、懐かしい。

それでTAのアナログポートに高速のアナログモデムを接続すれば、少なくともこちら側は最適な回線状態になる事が期待できる。

Bチャンネル2つをまとめて使えば高速になるとか言っていたが、料金も2倍になるので微妙。一度も使わなかった。一度試したかもしれないけど。

アナログモデムの話に戻るけど、
いくら送出レベルなどをいじったところで根本的に駄目な場合もある。たとえば回線にノイズが入っている。

自分のネットの会員さんで、接続が途中で切れたり、通信速度が出ない方がおられて、困っていた。
そこで実地に調査へ出かけ、現地で原因を探って改善した。当時そこまでやっていた。しかも無償で。

判明した原因から書くと、電話線を接続する順番。
ナンノコッチャ、と思うでしょう。そんなの関係あるのか。あるんです。

自宅に引き込まれた電話線 →FAX電話機 →モデム →別の電話機 という順番だったと思うが、昔なのですっかり忘れてしまった。
この順番を入れ替えて、確かモデムを一番に持ってきたら良かった。

最初の順番では受話器を上げて聞くとハム音(ビー)が混ざっていた。これを出している原因は何かという切り分けを行い、配線の順番を入れ替えていったら解消した。

文章で書くと簡単だけど実際には天井裏に潜ったりとか、あちこち引き回したり片付けたりと大騒ぎ。人んちで何やってんだかという感じ。

その機器には何か回線に対して不平衡になるような要因があって、それでハム音が起きていたんじゃないかと今振り返ってみると思う。
もう今ではどうでもよくなったが、こんな経験は貴重だった。

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