道具シリーズ(7) ハンダ除去
2022.05.21
いまでこそ業務で使用する為に、高価な機械を所有していますが、ここまでの道のりは遠回りで長かったものです。
部品を取り外すにはハンダを加熱して融かします。そのあとに、端子や基板の穴へ新しい部品を差し込もうとすると穴がハンダで埋まっています。これを取り除く必要があります。
つまようじや竹串を使い、ハンダが融けたところにそれらをつっこむと穴があきます。片面基板なら容易でしょう。両面基板だと辛い。
ハンダが融けたら、基板ごとパンと叩きつけて、ハンダを落とす。これは周囲が散らかるし、良いことはないんですが、ひとつの方法です。
但し、衝撃に弱い部品がのっている基板では、やってはいけない。(クリスタル等)
融けたハンダを100円玉の上に落とし、型取りする。(これは遊び)
けっこうリアルに型取りできると嬉しくなる。
ハンダ吸い取り線、これは現在も表面実装関係で普通に使っています。一般に売られているのは数メートルしか巻いてなく、すぐになくなってしまいます。使用頻度によるが・・・
子供の頃は、隣町か離れた市まで行かないと買えなかったから、その意味で貴重でした。
ハンダ吸い取り線が無くても、手近な電線(より線)を利用すれば良いです。電源コードなどに使っている線とか。それをむいて銅線をよじり、フラックスをしみこませれば代用品になります。
いわゆる、通称「すっぽん」
ポンプ式にハンダを吸い込む手動工具。安価なものから、ハンダゴテと一体になっているものもあります。
これはずいぶん使いました。スッと吸わせて、また押し込んで排出し、何度も何度も繰り返して指が痛くなったものです。
吸い取り機は電動で、ハンディ型と据え置き型があります。現在、どちらも持っています。片方が壊れてもバックアップできるからです。同じメーカー(白光)で揃えました。そうすれば、消耗品が共通に使える利点があります。
ハンディ型は比較的安価だけど、長時間の作業には向きません。ポンプまで一体化していますから、重くて手が疲れます。
仕事でたくさんの箇所を吸い取る場合は、据え置き型が向きます。手に持つ部分は軽いので疲れにくいです。
そのほか、これはハンダ除去というより部品はずし用ですが、ハンダつぼ、卓上ディップというものがあります。リード線やトランスの足の予備ハンダによく使われます。
卓上ディップは、ノズルの先端から融けたハンダが噴出するようになっていて、その上に基板のはずしたいICを持ってきます。すると全部のピンのハンダが融けますので、ピンセットなどでICを引き抜くだけです。
1ピンずつ吸い取り機で抜くより効率的で、熱が逃げてハンダが抜きにくい問題も少ないです。それでパターンを壊す可能性が低い。
部品を取り外すにはハンダを加熱して融かします。そのあとに、端子や基板の穴へ新しい部品を差し込もうとすると穴がハンダで埋まっています。これを取り除く必要があります。
つまようじや竹串を使い、ハンダが融けたところにそれらをつっこむと穴があきます。片面基板なら容易でしょう。両面基板だと辛い。
ハンダが融けたら、基板ごとパンと叩きつけて、ハンダを落とす。これは周囲が散らかるし、良いことはないんですが、ひとつの方法です。
但し、衝撃に弱い部品がのっている基板では、やってはいけない。(クリスタル等)
融けたハンダを100円玉の上に落とし、型取りする。(これは遊び)
けっこうリアルに型取りできると嬉しくなる。
ハンダ吸い取り線、これは現在も表面実装関係で普通に使っています。一般に売られているのは数メートルしか巻いてなく、すぐになくなってしまいます。使用頻度によるが・・・
子供の頃は、隣町か離れた市まで行かないと買えなかったから、その意味で貴重でした。
ハンダ吸い取り線が無くても、手近な電線(より線)を利用すれば良いです。電源コードなどに使っている線とか。それをむいて銅線をよじり、フラックスをしみこませれば代用品になります。
いわゆる、通称「すっぽん」
ポンプ式にハンダを吸い込む手動工具。安価なものから、ハンダゴテと一体になっているものもあります。
これはずいぶん使いました。スッと吸わせて、また押し込んで排出し、何度も何度も繰り返して指が痛くなったものです。
吸い取り機は電動で、ハンディ型と据え置き型があります。現在、どちらも持っています。片方が壊れてもバックアップできるからです。同じメーカー(白光)で揃えました。そうすれば、消耗品が共通に使える利点があります。
ハンディ型は比較的安価だけど、長時間の作業には向きません。ポンプまで一体化していますから、重くて手が疲れます。
仕事でたくさんの箇所を吸い取る場合は、据え置き型が向きます。手に持つ部分は軽いので疲れにくいです。
そのほか、これはハンダ除去というより部品はずし用ですが、ハンダつぼ、卓上ディップというものがあります。リード線やトランスの足の予備ハンダによく使われます。
卓上ディップは、ノズルの先端から融けたハンダが噴出するようになっていて、その上に基板のはずしたいICを持ってきます。すると全部のピンのハンダが融けますので、ピンセットなどでICを引き抜くだけです。
1ピンずつ吸い取り機で抜くより効率的で、熱が逃げてハンダが抜きにくい問題も少ないです。それでパターンを壊す可能性が低い。
道具シリーズ(6) ペースト
2022.05.21
電子工作でペーストは使用しない事になっています。あとで腐食したり、絶縁が悪くなってトラブルの原因になります。でも、はんだごてセットを買うと一緒に入っているので、使うものだろうと思ってしまうのですね。
小学生の頃、2石レフレックス(2T-100 ホーマー)の次に、6石スーパー(SP-6000 ホーマー)を作りました。
2T-100はずいぶん苦労しました。最初鳴らなくて・・・何が悪いやらわからない。いま思い出せばトランジスタの向きなど、いくつか間違っていたけれど、もうこれ以上間違いないという所まで手直しして、それでも鳴らない。困った困った困った。
神棚に上げて拝んでみたけれど、神様は修理してくれません。
「天は自ら助くる者を助く」
要するに自分で頑張れという事でした。
結局、バーアンテナの線の被覆削りが不十分だったんですけど・・・見た目では銅の色をしていますからなかなか見分けがつきません。
ちょっとした思いつきで、カッターの刃の背で線をこすってからハンダ付けしたら、鳴るようになったという、たったそれだけのこと。
まあ、それとペーストは関係ないんですけどね。
次のSP-6000を買った時に、今度は丁寧かつ慎重に確実に作業を進めようと決心したのです。説明書に書いてある通りに、手間はかかるけど、抵抗のリードを1本ずつ紙やすりで磨いてからハンダ付けした。
そこで、ペーストを使うとハンダがよく流れる事を知って、これは素晴らしいと感動し、とにかく塗りたくったわけですな。
こてを当てるとジュッと音がして、少々くさいけど、きれいにハンダが流れる。イモになりにくい。
最初の決心を貫徹したおかげか、一発で鳴りました。よかったよかった。この気持を大事にして精進しようと思ったか思わなかったか忘れたけれど。
ところが・・・・・・数日経過したら、ならなくなったのです。おかしいなあ。もう原因はわかりきってますが、ヒマでしたらおつきあい下さい。
最初ちゃんと鳴っていたから実装ミスじゃないな。だとしたら原因がわからないから、こういうのに詳しい親戚に聞いてみた。「トランスが断線してるんじゃないの」
えっ、トランス、断線??
テスターで導通をみたけれど断線していないようだ。そうしたら、何だろうな?わからん・・・
シグナルトレーサとかで回路を追ってみたらどうだろうとか、でも当時の実力じゃよくわかってなかったから、やっぱりわからない。
最終的にどうしたのか、肝心なところの記憶が消えてしまって思い出せないのだけど、ペーストが原因だったのは間違いありません。
ひととおり、ハンダゴテでハンダを融かし直してみたんだっけな。それか、溶剤でベッチョリペーストを洗い流したか。
とにかく鳴るようになって、ほっとしました。
もし(真空管回路などで)ペーストを使う事があったら、ごく少量だけ付けて、ハンダ付け後に溶剤で洗う必要があると思います。
それにしてもペーストの出番はないと思うんですがね・・・ハンダ付けしようとする端子や部品のリード線をよく磨いて、脂(フラックス)入りハンダを使えば十分です。
よくハンダが流れない場合、たとえばコテの熱量不足とか、コテ先が酸化していたりとか、そういった原因があるわけです。
あと、ペーストはどうしたっけ。
つまようじでちょっとずつ取って使っていたら、表面がでこぼこになるじゃないですか。それが気に入らなくて、ハンダゴテをつっこんで融かし、全体がツルンと平らになるようにして(遊んで)いました。
くさい煙がモクモク出るし、こて先は黒くなって傷むし、ろくなことはありません。
小学生の頃、2石レフレックス(2T-100 ホーマー)の次に、6石スーパー(SP-6000 ホーマー)を作りました。
2T-100はずいぶん苦労しました。最初鳴らなくて・・・何が悪いやらわからない。いま思い出せばトランジスタの向きなど、いくつか間違っていたけれど、もうこれ以上間違いないという所まで手直しして、それでも鳴らない。困った困った困った。
神棚に上げて拝んでみたけれど、神様は修理してくれません。
「天は自ら助くる者を助く」
要するに自分で頑張れという事でした。
結局、バーアンテナの線の被覆削りが不十分だったんですけど・・・見た目では銅の色をしていますからなかなか見分けがつきません。
ちょっとした思いつきで、カッターの刃の背で線をこすってからハンダ付けしたら、鳴るようになったという、たったそれだけのこと。
まあ、それとペーストは関係ないんですけどね。
次のSP-6000を買った時に、今度は丁寧かつ慎重に確実に作業を進めようと決心したのです。説明書に書いてある通りに、手間はかかるけど、抵抗のリードを1本ずつ紙やすりで磨いてからハンダ付けした。
そこで、ペーストを使うとハンダがよく流れる事を知って、これは素晴らしいと感動し、とにかく塗りたくったわけですな。
こてを当てるとジュッと音がして、少々くさいけど、きれいにハンダが流れる。イモになりにくい。
最初の決心を貫徹したおかげか、一発で鳴りました。よかったよかった。この気持を大事にして精進しようと思ったか思わなかったか忘れたけれど。
ところが・・・・・・数日経過したら、ならなくなったのです。おかしいなあ。もう原因はわかりきってますが、ヒマでしたらおつきあい下さい。
最初ちゃんと鳴っていたから実装ミスじゃないな。だとしたら原因がわからないから、こういうのに詳しい親戚に聞いてみた。「トランスが断線してるんじゃないの」
えっ、トランス、断線??
テスターで導通をみたけれど断線していないようだ。そうしたら、何だろうな?わからん・・・
シグナルトレーサとかで回路を追ってみたらどうだろうとか、でも当時の実力じゃよくわかってなかったから、やっぱりわからない。
最終的にどうしたのか、肝心なところの記憶が消えてしまって思い出せないのだけど、ペーストが原因だったのは間違いありません。
ひととおり、ハンダゴテでハンダを融かし直してみたんだっけな。それか、溶剤でベッチョリペーストを洗い流したか。
とにかく鳴るようになって、ほっとしました。
もし(真空管回路などで)ペーストを使う事があったら、ごく少量だけ付けて、ハンダ付け後に溶剤で洗う必要があると思います。
それにしてもペーストの出番はないと思うんですがね・・・ハンダ付けしようとする端子や部品のリード線をよく磨いて、脂(フラックス)入りハンダを使えば十分です。
よくハンダが流れない場合、たとえばコテの熱量不足とか、コテ先が酸化していたりとか、そういった原因があるわけです。
あと、ペーストはどうしたっけ。
つまようじでちょっとずつ取って使っていたら、表面がでこぼこになるじゃないですか。それが気に入らなくて、ハンダゴテをつっこんで融かし、全体がツルンと平らになるようにして(遊んで)いました。
くさい煙がモクモク出るし、こて先は黒くなって傷むし、ろくなことはありません。
道具シリーズ(5) リワーク
2022.05.20
リワークというのは、たとえば不良部品を取り外して良品を付け直すとか、ハンダがイモだったり天ぷらだったりするのを修正するとか、そういった作業をさします。
ここでは、リワークというよりも「部品はずし」の方法をメインで書くかと思います。
電子部品が欲しくても、田舎ですから売っている店はありませんでした。それで、捨てられているテレビやラジオからはずしていました。ただでいくらでも手に入ります。(でもテレビやラジオに使用されている部品に限られます)
まず、外だと道具を持っていない場合はほとんど。それでどうしたかというと、一旦、家に帰ってニッパーなんかを持ってくるのも面倒だし、その間にゴミ収集が持っていくかもしれないと心配だから、その場でハイエナするしかありません。
幸い、当時はリードが長めに付いている事が多かったです。トランジスタなんか基板の上に出ているリードが長かったのです。指でつまんでグラグラ揺すれば、そのうち金属疲労でリードが折れて、無事にトランジスタをGET!できたというわけです。
ただ、その力加減には技が必要で、力のかけかたによってはトランジスタの本体側の付け根できれてしまうので、それは失敗です。
トランジスタとリードの大部分までつまみ、基板側に力が集中するように力をかけてグラグラ揺すります。
これを欲望の赴くままに繰り返し、ポケットを一杯にしていきました。
真空管だったらソケットから抜くだけで楽勝だったな・・・と思いながら、でも当時の自分にとっては貴重なトランジスタは宝物でした。
そのうちに、ランドセルの中にドライバーとニッパーを入れて学校帰りにゴミを見つけてもその場で対応できるようにしました。実際、夏休みの廃品回収で学校近くの空き地に粗大ごみが集められた時にも、道具を持っていたのでラッキーでした。
ちなみに当時はいい加減で、木目調テレビに火を付けて小学校の近くで燃やしたりとか、平気でそんな事をする大人がいました。黒煙モクモクで、いまだったら大変な騒ぎになるでしょう。
そして、業者が全部持っていかなくて、いくつか残していった物がありました。テレビや洗濯機も、その空き地の端の斜面になっているところに投げ込まれていました。これもまた、現在ではとんでもない事でしょう。
それは当時の私にとっては、宝の山でした。危ないけど、その斜面におりていって、持参の道具で部品をはずしました。なんと幸せな時間だったのでしょう。宝箱をあけたら金銀財宝がザクザクというのがアニメなんかで見たことがあるかもしれませんが、私は、まさにその気持だったのです。
気づいたら担任が斜面の上から見下ろしていました。おい、お前ら(私の仲間がいました)なにやってんだ危ないぞと。
怒られてげんこつも喰らいましたが、その先生は教員になる前は無線の仕事をしようとしていた方で、ある程度こういうジャンクいじりには理解があったのでしょう。
仲間のA君はスピーカーを取り外したいというではありませんか。ところがナットどめされていて、プラスドライバーではゆるめられません。そこでニッパーの出番です。刃こぼれするのでやってはいけませんが、当時はそんな事は知らないし構っていられません。ハイテンションでした。ニッパーでナットをつかんで回し、ある程度ゆるんだら、あとは指でゆるめられます。
私がニッパーでナットを全部ゆるめてあげて、あとはA君が自分の指でゆるめて、見事お宝をゲットしました。
なんだか脱線してなかなか本題へ移れませんが・・・
捨てられていたテレビの基板だけ持ち帰ってくるようになりました。やはり抵抗などはリードが短く、ニッパーで基板から切り取ると短すぎて使いにくかったのです。
それで、ハンダゴテで裏からハンダを融かして抜き取るようにしました。これを自宅の居間でやっていて、くさいからやめろとか親に怒られながら、融かしたハンダをこぼして畳を焦がしたりサンザンでした。バスマットを買ってもらって、その上で作業するようになりました。これもハンダで穴があくので、ボロボロになったら、また新しいのを買ってもらいました。
こうして集めた部品を箱に溜め込んで、ニヤニヤしていたのです。この調子で高校生、いや、社会人になるまでやっていました。上司に抵抗なんか買えよと言われて、そう言われるまではジャンク基板から欲しい抵抗値を目を皿のようにして探し回るという効率の悪いことをしながらワンボードマイコンなんかも作ったのです。
ハンダ吸い取り線なんか最初は知りませんでした。有っても、貴重なものでした。隣町まで行く必要があり、めったに買えません。
それで、2つの方法でハンダを除去していました。コテで融かしながら基板をパンと叩きつけるとハンダが落ちるのです。これでハンダが散らかったりしていたわけです。
もうひとつは、つまようじや竹串を使っていました。片面基板だと、ハンダをとかして穴につまようじを差し込めば、きれいに穴があきました。
あと、基板を上向きに持って、下からはんだごてを当ててハンダを融かし、ずらしながらハンダを集めていく、なんてこともしていました。ちょっと説明が難しい。
中学~高校ぐらいからIC回路もいじるようになり、Z80もはんだごて1本で基板から取り外したものです。マイナスドライバーでこじるような力をかけながら、ハンダを多めにつけておいたのをはんだごてで何度もこするようにして融かしているうちにICが浮いてきます。片方の列が浮かせれば、あとは楽勝でした。
合理的に考えれば、こうした方法は何ともいえませんが、なんというか、何らかの財産として自分の中にのこっているような気がします。
専門学校の学生になり、長崎市に住みはじめ、あこがれのパーツ屋さんに通えるようになりました。デンキのカホ長崎店です。
そこでジャンク基板、たぶんオフコンの基板だったと思いますが、4層基板にDIPのICがギッシリ載っていてお買い得?でした。
ここからICをはずして集めようとしたわけです。面白いこて先があり、まさにDIPのICをはずす為の形状をしていました。これをはんだごての通常のこて先のかわりに差し込んで使います。
あとはハンダを多めに流して、ICのハンダ面から当ててやれば全部のピンのハンダが同時に融けて、引き抜けるだろうという目論見でした。
ところが実際には思ったようにいかず、かなり苦労しました。ICに引き抜く力をかける為の道具も工夫して、薬箱の安いピンセットを短く切って先端を折り曲げて自作しました。
長くなったので、一旦ここまでにします。次は、SOPやQFPの取り外しについて書きたいと思います。
ここでは、リワークというよりも「部品はずし」の方法をメインで書くかと思います。
電子部品が欲しくても、田舎ですから売っている店はありませんでした。それで、捨てられているテレビやラジオからはずしていました。ただでいくらでも手に入ります。(でもテレビやラジオに使用されている部品に限られます)
まず、外だと道具を持っていない場合はほとんど。それでどうしたかというと、一旦、家に帰ってニッパーなんかを持ってくるのも面倒だし、その間にゴミ収集が持っていくかもしれないと心配だから、その場でハイエナするしかありません。
幸い、当時はリードが長めに付いている事が多かったです。トランジスタなんか基板の上に出ているリードが長かったのです。指でつまんでグラグラ揺すれば、そのうち金属疲労でリードが折れて、無事にトランジスタをGET!できたというわけです。
ただ、その力加減には技が必要で、力のかけかたによってはトランジスタの本体側の付け根できれてしまうので、それは失敗です。
トランジスタとリードの大部分までつまみ、基板側に力が集中するように力をかけてグラグラ揺すります。
これを欲望の赴くままに繰り返し、ポケットを一杯にしていきました。
真空管だったらソケットから抜くだけで楽勝だったな・・・と思いながら、でも当時の自分にとっては貴重なトランジスタは宝物でした。
そのうちに、ランドセルの中にドライバーとニッパーを入れて学校帰りにゴミを見つけてもその場で対応できるようにしました。実際、夏休みの廃品回収で学校近くの空き地に粗大ごみが集められた時にも、道具を持っていたのでラッキーでした。
ちなみに当時はいい加減で、木目調テレビに火を付けて小学校の近くで燃やしたりとか、平気でそんな事をする大人がいました。黒煙モクモクで、いまだったら大変な騒ぎになるでしょう。
そして、業者が全部持っていかなくて、いくつか残していった物がありました。テレビや洗濯機も、その空き地の端の斜面になっているところに投げ込まれていました。これもまた、現在ではとんでもない事でしょう。
それは当時の私にとっては、宝の山でした。危ないけど、その斜面におりていって、持参の道具で部品をはずしました。なんと幸せな時間だったのでしょう。宝箱をあけたら金銀財宝がザクザクというのがアニメなんかで見たことがあるかもしれませんが、私は、まさにその気持だったのです。
気づいたら担任が斜面の上から見下ろしていました。おい、お前ら(私の仲間がいました)なにやってんだ危ないぞと。
怒られてげんこつも喰らいましたが、その先生は教員になる前は無線の仕事をしようとしていた方で、ある程度こういうジャンクいじりには理解があったのでしょう。
仲間のA君はスピーカーを取り外したいというではありませんか。ところがナットどめされていて、プラスドライバーではゆるめられません。そこでニッパーの出番です。刃こぼれするのでやってはいけませんが、当時はそんな事は知らないし構っていられません。ハイテンションでした。ニッパーでナットをつかんで回し、ある程度ゆるんだら、あとは指でゆるめられます。
私がニッパーでナットを全部ゆるめてあげて、あとはA君が自分の指でゆるめて、見事お宝をゲットしました。
なんだか脱線してなかなか本題へ移れませんが・・・
捨てられていたテレビの基板だけ持ち帰ってくるようになりました。やはり抵抗などはリードが短く、ニッパーで基板から切り取ると短すぎて使いにくかったのです。
それで、ハンダゴテで裏からハンダを融かして抜き取るようにしました。これを自宅の居間でやっていて、くさいからやめろとか親に怒られながら、融かしたハンダをこぼして畳を焦がしたりサンザンでした。バスマットを買ってもらって、その上で作業するようになりました。これもハンダで穴があくので、ボロボロになったら、また新しいのを買ってもらいました。
こうして集めた部品を箱に溜め込んで、ニヤニヤしていたのです。この調子で高校生、いや、社会人になるまでやっていました。上司に抵抗なんか買えよと言われて、そう言われるまではジャンク基板から欲しい抵抗値を目を皿のようにして探し回るという効率の悪いことをしながらワンボードマイコンなんかも作ったのです。
ハンダ吸い取り線なんか最初は知りませんでした。有っても、貴重なものでした。隣町まで行く必要があり、めったに買えません。
それで、2つの方法でハンダを除去していました。コテで融かしながら基板をパンと叩きつけるとハンダが落ちるのです。これでハンダが散らかったりしていたわけです。
もうひとつは、つまようじや竹串を使っていました。片面基板だと、ハンダをとかして穴につまようじを差し込めば、きれいに穴があきました。
あと、基板を上向きに持って、下からはんだごてを当ててハンダを融かし、ずらしながらハンダを集めていく、なんてこともしていました。ちょっと説明が難しい。
中学~高校ぐらいからIC回路もいじるようになり、Z80もはんだごて1本で基板から取り外したものです。マイナスドライバーでこじるような力をかけながら、ハンダを多めにつけておいたのをはんだごてで何度もこするようにして融かしているうちにICが浮いてきます。片方の列が浮かせれば、あとは楽勝でした。
合理的に考えれば、こうした方法は何ともいえませんが、なんというか、何らかの財産として自分の中にのこっているような気がします。
専門学校の学生になり、長崎市に住みはじめ、あこがれのパーツ屋さんに通えるようになりました。デンキのカホ長崎店です。
そこでジャンク基板、たぶんオフコンの基板だったと思いますが、4層基板にDIPのICがギッシリ載っていてお買い得?でした。
ここからICをはずして集めようとしたわけです。面白いこて先があり、まさにDIPのICをはずす為の形状をしていました。これをはんだごての通常のこて先のかわりに差し込んで使います。
あとはハンダを多めに流して、ICのハンダ面から当ててやれば全部のピンのハンダが同時に融けて、引き抜けるだろうという目論見でした。
ところが実際には思ったようにいかず、かなり苦労しました。ICに引き抜く力をかける為の道具も工夫して、薬箱の安いピンセットを短く切って先端を折り曲げて自作しました。
長くなったので、一旦ここまでにします。次は、SOPやQFPの取り外しについて書きたいと思います。