丸い基板
2025.02.11
丸い基板は作れるかと言うと勿論作れるし、たくさん作りました。組込先の形状に合わせて丸くする必要があったわけです。

でも円形基板はそのまま(円形)だと実装機に流せません。そこで捨て板をつけて、Vカットやミシン目で切り離せるようにする必要があります。

以前の勤務先に入社した頃、すでに円形の基板がありました。中国で作っていたようです。
それは捨て板も何もなく、最初から円形で作られていました。
これをどうやって実装機に流していたかと言うと、なんと耐熱板を加工して、そのジグに載せて流していました。
1枚ずつそれを手作業でやっていたのですからたまりません。何も疑問に思わなかったのかな。

最初は確かに円形の基板を入れる筐体だったのでしょうけど、実際は四角い筐体に変わり、円形でなくても構わないことに誰も気づいていませんでした。
それで四角い基板を私が設計し直した次第です。LED基板でしたが、ついでにドライバー回路も組み込みました。

ほかの筐体では円形の基板でなければ組込ができないので、捨て板をつけて、実装後にうまく切り離せるようにしました。

LEDといえばアルミベース基板でしたけど、値段も納期もかかっていました。

そこで普通のガラスエポキシ基板で代用できないものかと検討して実際に作ったりしました。あまりにも発熱が多い機種だと難しいのですが、その発熱を検討・実験して、基板を金属筐体に取り付ければうまく熱を逃がせることがわかったのです。

そのうちに高熱伝導のCEM-3が出てきましたけど、結局自分では使わずじまいでした。
暑さ寒さと高湿度に耐えろ
2025.02.11
もうムチャクチャで、温度の高い方は何度で、低い方はマイナス何度で、しかも湿度**%に耐えろ、試験をしろ、ってのが昔あった。

具体的に書けないが、こういうのにうるさいのは防衛、電力、鉄道などである。(やりたくないトップスリー)

湿度**%って・・・ほとんど、びちゃびちゃじゃないかと。

まず湿度については基板をコーティングする。ワニス処理といって、基板に薬剤を塗布する。これの成分は、今までの経験では2~3種類あったか。

コネクターやジャンパーピンに付着すると接触不良になるから、予めそれらをマスキングしておく必要があり、手間がかかった。(でも、これらは湿気から保護されないから濡れたらダメよね)

塗り方は刷毛塗り、ドブ漬け。スプレーも有る。

刷毛塗りは人が刷毛を使って塗っていく。手作業で手間と時間を要した。ブラックライトに反応して光って見えるものがあり、ブラックライト下で作業していた。自分も試作基板を塗った。
ブラックライトで塗膜を見ながら塗っていくけれど、やはり手作業なのでムラは有り、完璧とは言えない。

基板の端面も塗るのがポイント。ここから湿気が浸透するんだって。

ドブ漬けは基板を丸ごとワニスに漬けて引き上げて乾燥させる。基板の端に針金をひっかけて吊るす。その作業ブースはシンナー臭くてラリってしまいそうだった。当然、換気されていた。塗りムラは少ないけど、とにかくラリってしまいそう。

スプレーは普通に吹きかけるけど、1回ではなく乾いたら塗り重ねる。

いずれの場合も空気中の湿度が問題で、特に梅雨時はエアコンで十分に除湿してから作業する必要があった。湿度を吸い込むと、白っぽく仕上がってしまうため。

勘違いしてはいけないのは、これはあくまでも防湿処理であって、結露や水没は対応できない。何もしていない基板よりはマシと思ったほうが良い。

アキシャル部品など、余ったリードを切った先端までコーティングで包むことはできないから、ギリギリ短く切ってからコーティングする。


次に、温度の高い方と低い方は、工場に恒温室があったのでそこを借りてテストしようとした。

ところがこれは生産設備の一部で、製品を入れてエージングテストをするから、我々がずっと占有するわけにはいかない。夕方には空けてよね、という具合。夕方から製品を入れて一晩通電するからって。

温度の高いほうは設計上、ディレーティングを考慮しなければならない部品がある。たとえばDC-DCなど。簡単に言うと、いっぱいいっぱいの能力では使えない。温度が高い場合は負荷を軽くしてやる必要があるから、自ずと必要なワット数の品よりも大きい品を使うことになる。

公設の工業試験場で設備を借りて、温度と湿度をかけてテストした。もちろん通電・動作させながらで、実際に通信をさせてエラーレートを測定した。結果的には無事完了。

その後、私は退職してしまったので分からないが、その依頼主の会社がつぶれちゃったとかで、あの製品たちは結局どうなったのやら。
**のジャンク基板にその会社のロゴマークを見かけて懐かしくなったりした。あのロゴマーク、基板に入れたなあ、って。
タンタルコンデンサ
2025.02.11
今は積層セラミックが大容量化してきたのでタンタルコンデンサの出番は少なくなった。

昔は、数マイクロファラッド以上必要で、アルミ電解コンデンサより精度が必要な場合はタンタルを選んでいた。

フィルムコンデンサだとどうしても形状が大きくなり、基板に載せられなかったりした。(一言で言えばでかすぎる) そこで容量とサイズから考えるとやはりタンタルになった。

主に時定数回路やアナログ回路に使った。

そしてタンタルは電源周りには使わないようにしていた。どうしても使う場合は定格電圧の3倍のマージンをみていたが、それでも萌え、じゃなかった燃えるやつがあった。

そう、タンタルコンデンサは燃えるのである。

電源をつないだ瞬間、パチッ、シュッと鳴って火が上がる。一瞬の出来事。あぶない。
とある製品でタンタルが燃えてクレームになった事がある。以後は電解コンデンサに置き換えた。

別の新しい製品の開発中、どうしても電解コンデンサでは温度の要求を満たせず、タンタルしか選択肢がなかった。
そんな中で当時、ヒューズ内蔵タンタルが確か松下電器の製品に有って、それを採用した。
これだったら電源周りにも安心して使える。

だけど、人知れずヒューズが切れてもわからないし、そのとき回路の動きはどうなるんだ? という疑問は残った。
この対策は、たとえば複数個並列に使ったらどうだろう。同時にいくつもショートしないだろうから、通常切れるのは1個だけ。残った分で動作を継続する。

条件付きで電解コンデンサも使用可能になったんだっけ。但し、寿命の計算をして15年以上であること。(暑さ寒さにさらされる場所なのに15年もつ電解コンデンサって有る?)

DC-DCコンバータも温度範囲の条件を満たす物を選んだけど、もうひとつの条件としてアルミ電解コンデンサもタンタルも未使用であることとした。
なかなか国産では仕様に合致するものは無く、さんざん探し回った結果、米国製の製品からいくつか見つけた。
おそらく、米国では軍事用に作られていて、そのために上限温度を満たすものが有ったんじゃないかという話。
電解コンデンサの容量の決め方
2025.02.11
これは意外と多くの方が知らないかもしれない。(他人の頭の中なんてわからない)

意外と書いてない。マイコンだのプログラムだのは多いけど、この肝心な基本的なことはどこにも書いてない。(あったら教えて)

結構適当に決めているんじゃないかと思う。(たぶん)
まあ適当でも現実には何とかなっている。(危うい)

この場合、基板の電源ラインにバイパスコンデンサとして組み込んである電解コンデンサについての話。その容量をどの程度にしたら良いか。

無くても良いかというと、付けるべき。

基本的には、基板の電源の入口に付ける。そして、消費電流の多い部品やノイズの多そうな所に付ける。
たとえれば貯水タンクのようなもので、マンションとかに付いているあれを思い出してもらえれば・・・外から受けた水を一旦蓄えて、使用が急に増えてもタンクの貯水から供給できるようにする。同様に、ICなどは直近のコンデンサから電源をもらって動くと考える。そのループができるだけ短くなるようにする。

そもそも電源、GNDの引き回しから気を配るべきで、アナログとデジタルの区別は勿論、大電流が流れる部分は電源ラインを別に引いて、けっして他とは共通にしないようにする。

たとえばモーターとその制御回路があったら、たとえ両方の電源電圧が同じであっても、一緒くたにつながない。理想的には、直流電源の端子から2系統に分ける。

現実は、直流電源の端子から長いケーブルで基板に引いてきて・・・となるだろうけど、その線をできるだけ太く短くする。

次のコンデンサの容量については、これは大きければ良いかと言うとそうではない。極端に大きいと、それはそれで支障が出る。たとえば電源が立ち上がらなくなったりする。反対に、電源OFFにしても残った電荷で回路に通電した状態が長く続く。

DC-DCコンバータを使う場合、その推奨されている容量の最大値がデータシートに書いてあるので注意して見る。

一般的な基板に付けるコンデンサの容量は、どれくらいが適正かというと簡単には言えない。理論的に計算する方法もあるのだろうけど、マイコンやアナログ回路やモーター等いろいろ混ざった回路で複雑な計算ができるのかどうかは知らない。

そこで、手っ取り早く「現実を見る」「現場に聞く」。

テストしたい回路の電源入口にたとえば10μF程度を仮付して、その両端の波形をオシロで見る。
コンデンサの両端を見てもノイズなんか見えないだろうと思ってやめたらダメで、完全に吸収しきれないのでノイズが見える。

もし容量が不足していれば電圧が落ちているのが見えるはず。
さらに入力をACに切り替えて、電圧軸を拡大してノイズを見てみる。

この実験は実際の使用環境とできるだけ近い状態を再現して行う。実験室だと数10cm、じつは現場だとケーブルが何メートルもあって・・・では、話が違ってしまう。

電解コンデンサだけではノイズが抑えきれない場合もある。もうひとつ電解コンデンサを並列につないでみる。あるいはセラミックコンデンサを並列につないでみる。
電解コンデンサだと高い周波数まで対応できないので、セラミックコンデンサで対応させる。

電解を2個以上並列にするのは、たとえば元が100μFだとして2個並列で200μF、これは1個でいいじゃないかと(近い値の)220μFの1個に置き換えがちだが、2個並列のほうが良い場合もある。

基板が出来上がった、動いた、良かったね、で終わるのではなくて、正常に動いている時の状態を調べて記録しておく。そうすると修理の時にも役立つ。

結論をまとめると:
・現実を見ろ。
・ある程度以上の容量があればOK (極端に大きすぎてもいけない)
・電解コンデンサだけでは対応できないのでセラミックコンデンサを並列に。
・ひとつで大きい容量より、複数の小さい容量のコンデンサを要所に配置する。
・電源まわりの引き回しにも気を配る。
どっちでも良さそうな事
2025.02.11
会社だと些細な事でもモメたり議論したりして余計な手間が増えたりする。これは平成初期の頃の記憶。(そんなのどうでもいいだろ系)

たとえば部品表に、電解コンデンサの容量/定格電圧をどのように表記するか。

100μF
25V
だったとしたら、

100μF/25V と書く人もいれば、
25V/100μF と書く人もいた。

担当者ごとにみんなバラバラ好き勝手というのは他のことでも多くみられたが、とりあえず表記を統一しようという話になった。

で、結局は定格電圧を先に、容量を後に書けという通達。

個人的には、「容量を先に、定格電圧を後に」派だったので大いに不満があった。

なぜと問いかけても納得のいく答えは得られない。まあ、いつも異議を唱えるやつは会社づとめには向いてない(笑)

結局どっちやねんって、わかんねー。

そもそも、その電圧はどういう意味とか言い出す人もいて、哲学的?になってきたのであった。

その電圧はかけても良いんだっけ。定格だからいいんじゃない。でも普通は2倍以上のマージンを見るよね。5Vで使うのでも10Vとか16Vとかを選ぶ。

テストボルトじゃないかと言っていたのは年配の方で、昔のコンデンサにはT.V.1000V などと記載があった。
ワークボルトだろうと。W.V.という表記もあったよね。それが定格電圧になるんだっけ。

同じ容量でも、定格電圧の高い物は形状も大きくなるから、どうしても小型化やむを得ない場合は定格電圧ぎりぎりの物を選ぶかな。あるいは寝かせたら入らないかとか。

そもそも容量はどうやって決めてるんだ。時定数はわかるけど、電源周りのパスコンは。
意外と誰も知らなかった。適当に決めているらしい。

タンタルはどうだっけ。信頼性や特性は良いけど高いよねタンタル。燃えたじゃないか。電源ラインに使うなと書いてあるぞ。ヒューズ入りもあったよ。使ったよ。安全だろうけどヒューズが人知れず切れてしまった後、コンデンサとしての機能を失ったらどうなるんだ。

・・・などと、脱線していったのでありました。

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