道具シリーズ(14) ドリル
2022.05.23
ドリル

自作プリント基板や、パネルに穴あけしてスイッチを取り付けたりする時にドリルを使いますね。

最初うちにあったのは(といっても幼い頃だが)ハンドドリルでした。

ああ、あれね・・・たぶん認識が違うと思う。手回しのやつです。腹で押すようにしなかったっけ。疲れるしズレるし、不便なシロモノでした。ただ、それしかないから仕方がない。

細い刃から折ってしまってなくなった記憶がある。

そんなの買えばいいじゃん、といっても隣町か、大きな市に行かないと売ってないから、そんなに気軽に買えなかった。

電動式ドリルを買ったのは、専門学校の学生の時だった。お金はそんなに無いから、安いものを探していたら、マルイだっけ、ドリルの組み立てキットがあったのでそれを思い切って購入。

ある程度使える物だったと記憶しています。見た目はプラモっぽかったんですけどね。スタンド付きだったのでプリント基板の自作には良かった。

それ以前はどうしていたかって? 「キリ」であけていました。穴径なんかいい加減で・・・まあそれほど細かい物は作ってなかったから良かったのだけど。

あと、カッターナイフの刃の先端を利用して、穴を開けたい所に先端を当て、グリグリ回すと穴があけられる。皿もみ穴みたいになるが仕方ない。

樹脂だったらはんだごてでブスッと突き刺して、あとは適当に削ったりして仕上げ。くさいし、ハンダゴテの先端が傷むような気がして、あまり好きではなかった。手軽だし、スチロール系の箱なんか、ドリルだとうっかりしてヒビが入るけど、ハンダゴテだと融かすから割れにくくてよかった。

ピンバイスでグリグリ回すとか、途方もない事をしていたような気もします。

卒業研究でLEDマトリクスの電光板を作って、LEDを768個も載せる感光基板を手作り。両面板はガラエポしかなかったから、ドリルの刃が切れなくなるのが早い。何度もホームセンターまで買いに行って、下宿の仲間と交代しながらドリルで穴あけ。さっきのマルイの電動ドリルで。

その電動ドリルはそんなに長持ちしなかったような気がします。ギヤがダメになったんだっけ。

ボール盤を買ったのは社会人5年目ぐらいだったか・・・たまたまホームセンターで\6,000と安価な物があり、これは買いだと思ってすぐに買って帰った。これは結構長い間、愛用していたけど、わりと最近まで持っていて、最後は取引先の人にあげちゃった。

手持ち式の電動ドリルは、ボール盤の前ぐらいに買ったっけ。これは今でも持っています。ただ回転が遅いので、あとで速いのを買い足しました。
道具シリーズ(13) ラッピングツール
2022.05.23
ラッピングツール

贈り物の箱とかリボンの意味じゃなくて、リード線を端子に巻き付ける接続方式のことです。
ハンダ付けより信頼性が高いと聞いた事があります。
ただ、現在ではほとんど用いられてないと思います。

電話交換機のリレー配線とか、アポロ宇宙船の誘導コンピュータもラッピング配線でした。(たとえばAPOLLO AGCで検索) APOLLO GUIDANCE COMPUTER
AGCは、ICを並べたモジュール同士を差し込むバックプレーンボードの裏側の配線がラッピング配線で埋め尽くされていました。

あと、大型コンピュータのバックプレーン配線もラッピングでした。私もミニコンNEAC3200とか、専門学校にあったNEC ACOS-250の中がそうなっているのを実際に見た事があります。

昔は山一電機のラッピングソケットが有りました。山一以外にも各社あったと思いますが、一般のソケットに比べたら高価でした。

私がリレー式電卓を作った時は、普通のピンヘッダを使いました。2列のもので、リレー端子1個から2本の配線が引き出せるようにしていました。これなら原理的に配線可能です。

日本メーカーだとエブレンのラッピングツールが有名でした。もう売ってないと思います。電動式と手動式があり、かつては両方とも所有していました。
個人的には、手動式で十分かと思います。
巻き付けと、取り外しができるようになっていました。1種類で、回す方向によって巻き付け・取り外し兼用の物を持っていました。
海外製のものは、確かOKインダストリーズ? それも持っていて、巻き付けと取り外しはそれぞれ反対側にあって、軸の真ん中にストリッパーがついていました。線を差し込んでひっかけてひっぱると、被覆がむけるという物です。

電動ツールの場合、ビットスリーブというものを先端に取り付けました。巻き付け専用です。もう少し高いものだと、CSWといって、カット・ストリップ・ラップの3つの機能を備えていました。
つまり、ラッピング線の被覆をあらかじめ剥く必要なく、そのままビットスリーブに差し込んで目的の端子に挿してボタンを押せば、自動的に被覆むきしながら巻き付けてくれるという便利なものでした。値段は、ちょっとの差じゃなかったね・・・格段に違いました。

諸先輩の話だと、お前そんなのすぐだめになるぞ、普通のビットスリーブになっちまうぞ、という事でした。興味はあったけど、買おうと思ったことはないし、買う金も当時はなかったのです。
道具シリーズ(12) 溶剤
2022.05.22
汚れ落とし、とくに電子回路の場合はフラックス洗浄のために溶剤を使います。

溶剤としてよく使われるのはアルコールでしょう。ヘキサンなども使われます。(洗浄スプレーに入っている)

アルコールといっても何種類か有って、IPA(イソプロピルアルコール)は工場の洗浄槽に使っていました。一般に入手しやすいエタノールで十分かと思います。

これをクリーンポット、あるいはハンドラップと呼ばれる容器に入れておきます。上部をトントンと叩くと液体が出てきますので、これをキムワイプに染み込ませたりして利用します。

HOZANのクリーンポットは、最初に買った時、フタがプラスチック製でした。これは後で問題を起こしました。アルコールのせいでしょう、勝手にヒビが入って割れました。それで現在は金属製になっています。

綿棒、キムワイプ、歯ブラシ(使い古しで構わない)を揃えておくと良いでしょう。

綿棒は細かい部分の汚れを拭き取るのに使います。クリーンポットにちょんちょんと触れさせてアルコールを染ませて、それでICのピンなど細かいところをこすってきれいにします。

キムワイプは広い部分に対応します。1枚使うのはもったいない場合があり、ちぎって何分割かして使うこともあります。

基本的な注意として、火気厳禁、換気をよくしてから使うのは当然。

社会に出て最初の頃・・・あの頃は、まだフロンを使っていました。製造部に行って、空きペットボトルに分けてもらい、設計の実験室で使いました。
基板にドバドバかけ流しながらブラシでゴシゴシ。使い放題でした。いま思えば、なんと罪深いことでしょう。
すばらしく汚れ落ちが良かったし、すぐ乾くし、最高でした。

その在職中にフロンが規制され、使えなくなりました。新しい基板洗浄機では1槽目が炭化水素系、2槽目IPA、3槽目で乾燥といったものでした。
炭化水素系というのは、早い話が「灯油」のようなもので、灯油のニオイがプンプンしていました。
汚れ落ち(汚れとは主にフラックス)はフロンの時より劣り、これが原因でトラブルに巻き込まれた事もありました。いまいちきれいにならないというのが正直な感想でした。
トラブルというのは、ピンヘッダに汚れが残留、というか付着していた為に接触不良があり、短絡ソケットを差し込んでいるのに導通しないという現象に悩まされたのです。

当時、製造部門を見たら「フラックスリムーバー」というスプレーを使っていた。こりゃ便利そうだ。汚れ落ちも良い。
早速、物品手配の書類を書いて手に入れました。ところが、管理部門の人たちが一緒に来て、うるさい事を言うではありませんか。有毒だからマスクを付けろとか換気しろとか。

現在売られている同名のフラックスリムーバーとは成分が異なり、当時は二塩化メチレンだったのです。それは、アクリル接着に使われている溶剤そのものでした。
だからコネクタが融けたのでしょう! スプレーをかけると、なぜだか黒い液体が出てくるので、なんだろうと思っていた。フラックスにしては色が違うな~と。

黒い液体の正体は、コネクタの樹脂部分(黒い)が融けたものだったのです。





アクリル接着剤をうっかりこぼしてしまった時の写真。
キーボードの裏側がドロドロに融けてる!

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