インターホンと親子電話
2023.02.12
とにかく電話に取り憑かれ、執着していた子供時代でした。

電話回線の電圧って何ボルト?ベルを鳴らす電圧は? これらの疑問を何年もひきずっていました。答えが載っている本がなかったからです。テスターではかってみれば、というのは思いつかなかったし、テスターを買ったのはずいぶん後のことでした。

新聞折り込みの電電公社のチラシがあって、それに親子電話が載っていました。要するに複数の電話機を並列につないで、家の1Fと2Fに設置するというものでした。ブザーを併設して、1Fと2F間の呼び出しに利用する方式だったと思います。

いまでは全く無用の長物です。コードレスホンが有るし、それよりも固定電話がオワコン・・・

だが当時の自分は非常に興味をそそられ、そのチラシを大事に持っていました。時々取り出しては眺めて、妄想にふけっていました。親に、うちも親子電話にしてくれと頼んだが却下。おもしろくない。

お金持ち?の同級生の家(複数)には、その夢の親子電話がありました。親子電話というか内線交換機だったでしょう。彼らの家は商売をしていたので、そうなっていたと思います。いいなあ、と、あこがれと欲求不満がありました。

近所の友達と専用電話線を勝手に引いて、通話できたら楽しそうだなと思ったけれど、現実にそんな話すことがあるかと?当時はそこまでは考えず、楽しそうだな、で止まっていたので却って、良かった思い出になったかもしれません。

中学生の頃、ホームセンターで壁掛け電話機が手に入る値段だったので買ってきました。当時は遠くまで自転車で行っていたものでした。
部屋まで電話線を勝手にひっぱって、これが後のパソコン通信まで歴史がつながっていくわけです・・・

無資格で工事はできませんが、当時はお構いなしにやっていました。工事担任者資格をとったのは、ずいぶん後のことです。
パソコン通信時代にも、モデムの送出レベル調整は資格が必要ということで、工事に来られた人に相談したら、自分でやってくれとの事。それで、勝手にやっていました。

さて、幼い頃にダイヤル電話機を3台もらって、それらをいじくって遊んでいたのは以前も書きました。長い電線をつなぎ、電池を3ボルトでもつないでやれば通話だけはできました。
ところがベルを鳴らす手段がありません。

夢にまで見ました。なぜだかわからないが、夢の中でテレビのアンテナ切替のナイフスイッチ(これも最近見かけない)をいじったらベルが鳴る、いや、チャイムだったか記憶違い。そんな夢を見るぐらい、どうしたらできるかを、無い知恵をしぼって考えていました。

電電公社の親子電話はブザーで相手を呼び出す方式でした。たぶん家庭内の通話は考えてなかったと思います。親が1Fで電話をとったら、子供宛てだったから2Fの子供を呼び出して電話をかわってもらうという使い方だったでしょう。

中学生の頃、技術家庭科で電子工作がありました。当時の自分にとっては、1年生のときから待ちに待ったという感じで、夢のようでした。
キットがいくつか選べて、好きなものを作れということでした。
そのひとつにインターホンがありました。だけど、配線がダサくて選ぶ気が失せました。原理を勉強するためでしょうけど、フラットケーブルでインターホン同士をつなぐなんて。配線じゃまくさい。
自分は一番簡単そうな電子オルガンを作り、すぐに終わったので周囲の同級生の支援をしました。

自分の理想は2線でした。電話機と同じ2線。同時通話可能。いちいち切り替えなくても良い。(トランシーバーみたいにしなくてよい)
これなら電話線(モジュラーケーブル)で済みます。

但し2線を実現するには、2線~4線の変換回路が必要になり、少々難しくなります。オペアンプの差動増幅が必要になってきます。これはアナログモデムでも使われていた技術です。
差動増幅器は差動信号だけを増幅します。同相信号は増幅しません。自分の声は同相として入力されるので自分のスピーカーには届きません。

自分と相手それぞれマイクとスピーカーがありますよね。

自分の出した声が自分の耳に聞こえないようにしなければなりません。そうしないとハウリングが発生します。受話器ではマイクとスピーカーが直近にあるので。

自分の声は、相手に届くようにします。当たり前です。同様に、相手の声は自分に届くようにします。
しかし配線は2線です。ここに、うまく載せてやる必要があります。

いまここに回路は載せませんが、電子工作の実例として載っている本がありました。
ゆうほう(続々)
2023.02.12
前に紹介した電話機が一般家庭に普及していたけど、祖母の店にあったのは違う機種で、いわゆる「磁石式」と呼ばれるタイプだった。

ここに情報がある。(黒電話で遊ぼう~ハンドル式黒電話)
http://uenosato.net/kurodenwa/kurodenwa1.html

祖母の店の電話機は、なんでもすぐ分解して台無しにする悪ガキ(笑)がイタズラしないような高い場所にあり、最後までその姿を十分に堪能することはできなかった。
その電話機を見たくて見たくて、背伸びをしていたので、現在のように背が伸びたのかもしれない。

磁石式というのは発電機を内蔵しているから(自転車のダイナモ同様、磁石が入っている)。

ハンドルで発電機を回すと、交換台の表示板が開く。(表示器が並んでいて、電圧がかかるとカバーを押さえているツメが動いてカバーが開き、番号が見えるので交換手が認識できる)

小学生の頃、学校の理科室に展示してあった磁石式電話機をいじっている同級生がいて、110番なら110回も回すのか?とグルグルやっていたがそうではない。数回クルクル回すだけ。

交換台が出ると、受話器で接続したい相手の番号を告げて、つないでもらう。交換台では、交換手が相手を呼び出す操作を行う。相手が出たら、相手の回線にプラグをさしてお互いに接続してくれる。

なぜ祖母の店は磁石式だったか。たぶん、商店とか事務所は個別に契約していたのではないかと思う。
磁石式はスピーカーが内蔵されておらずベルが鳴るようになっていた。
農村電話は複数の家が並列につながっていて回線を共用していたけど、商店とか事務所は電話をよく使うから共用では不便、だから単独回線じゃなかっただろうかと。

磁石式は、まだ現役のところがあると思う。鉄道関係では見かけていた。なんといっても、冒頭のリンクで紹介したように、お互いに線をつないで電池があれば通話できる。
私が長年不満だった、相手のベルを鳴らせない問題(普通のダイヤル黒電話で)は、この磁石式だったらアッサリ解決していたことになる。
もらったダイヤル式(黒ではなく緑色だったが)を2台つないで遊ぶのに、電池だけじゃベルを鳴らす手段がなかった。

この磁石式電話機は通話用の電池が必要で、空気式という物だったが、それが祖母の店の電話機のそばにあったのかどうか記憶にない。
たぶん、あったのだろうけど。そして、時々取替に来ていたのかもしれない。
ゆうほう(続)
2023.02.11
おそらく誰のトクにもならない情報

謎の赤いボタンの仕組みがわかりました。

キーワード「日立 有線放送電話装置」で検索すると、当時の日立評論のPDFがダウンロードできます。
私が持っている電話機はNEC製ですが、おそらく同じような考え方だと思います。
色々な工夫が読み取れます。
通話時と放送時で極性を変えたりとか・・・

電話回線は1軒ずつではなく数軒まとめて共用(但し、番号は1軒ごとに割当)

あと、畑の真ん中にスピーカーが立っていたのは、放送だけではなく電話がかかってきた事を知らせる為でもあった。農作業中でもわかるように。(何番さん、お電話です)

親戚の家にはアンプと鉄琴(ピンポンパンポーン)が置いてあって、地区で放送できるようになっていた。農協の本部とか町内会長の家には有ったのだろうと思う。

自分の記憶ではお昼ごろに放送が流れていたけど、その状態では回線に高い電圧がかかっている。
そこで緊急の用事があって受話器を上げると、受話器から大きい音が流れて耳をいためるおそれがある。その対策回路が組み込まれている。
その方式はいくつか有って、私が持っている電話機はフックに赤いボタンが付いていて、押すと回線に1kΩが接続されるようになっている。
また、電話機の回路にはダイオードが組み込まれていて、正しい極性でないと通話できない仕組みになっている。
通話時と放送時で極性を変えることで、放送中に受話器を上げても音が聞こえないようになっている。
しかしそのままでは受話器を上げても(逆極性で)直流ループができないから交換台には伝わらない。
それで赤いボタンを押して1kΩ(ダイオードは通らない)によって直流ループを作り、交換台のランプを点灯させるという仕掛け。ナルホド。

幼い頃から、もらった電話機(ダイヤル式)を複数つないで通話して遊んでいたが、電池をつなぐだけではどうしてもベルを鳴らす事ができなくて非常に不満があった。
この有線放送電話なら、オーディオ信号を回線に載せてやれば本体のスピーカーから音が出るのでベルの代わりになる。
実際、そのように運用されていたわけで、自分もこれにならってやってみればよかったけど、当時は知らなかった。思いつかなかった。
ただ、リップルの多い電源アダプタを電源としてつないだ時に、ブーンという不快な音がスピーカーから鳴ったのは知っていて、ここから発展させればよかったのになあ、と。

あと、当時は夜間の通話は基本的にできなかったようだ。何しろ人間が手動で対応していたから仕方ない。交代制も有ったかもしれないけど。
緊急通話は受け付けていて、それを宿直の人に伝える仕組みもあったようだ。

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