コイル(トランス)まきまき
2025.03.23
電子工作ではコイル(またはトランス)を巻くことはそれほど無いと思います。

ワイヤレスマイクの製作で鉛筆に銅線を巻き付けて、とか、バケツにリード線を巻いてゲルマラジオを作ったり、ぐらいでしょうか。

電源のトランスが必要なら既製品を選んで買うのが普通だし、手っ取り早いです。高周波回路ならFCZコイル(今も後継品が有ると思う)を使うことが多いでしょう。

でも、必要に応じて自分で巻くことがあります。

初めて自分で巻くという記事を見たのは、「みんなの科学 たのしい実験室」で電池式蛍光灯の製作ではなかったかと思います。
EIコアのトランスボビンに巻線を・・・というところがひっかかって、えーっ、そんな面倒くさそうな、と思ってそこでおしまい。
当時は中学生だったと思う。それで適当なジャンクのトランスを選んで、適当につないでみたら蛍光灯が光ったのでそれで良しと思って終わらせていました。

まあ、面倒くさいでしょうけど、やってみると意外とそれほどでもないです。是非やってみることを勧めます。

電源トランスの一次側を1000回巻く、というのは実際にやったことがないと大事業に思えるかもしれませんが、やってみると意外とそれほどでもなかったです。物足りない感じがしました。

もうずいぶん昔になりますが、中学生の頃に通った電器店のじいちゃんは、断線したトランスを巻き直すぐらい当然のようにやっていました。
修理のイロハもそのじいちゃんから習ったのでした。

あとは、
スイッチング電源を作った時にトランスを巻きました。これはせいぜい100回ぐらいで、そんなに巻くことはありません。
ただ、絶縁に気を使わないといけないので(バリアテープとか)けっこう気を使います。三層絶縁電線を使うとずいぶん楽になりました。

あとはトロイダルコア、これはドーナツ形のコアです。アマチュア無線で自作をしている方はおなじみでしょう。ノイズ対策でもよく出番があります。

昔、私が水産学部のお手伝いで漁船にのった時、我々の装置が盛大にノイズを出し、魚探の画面が真っ赤っ赤となり使い物になりませんでした。
動くものを作って間に合わせるだけで精一杯でそこまで気が回らなかったからです。

そこで次回行くときまでにノイズフィルタを準備することにしました。
ジャンクから見つけた大きなトロイダルコアにキャンセル巻きをして、あとコンデンサ等を付けたノイズフィルタを作って追加し、手元でテストしてノイズが一次側に出ないことを確認してから船に持っていきました。今度はバッチリでした。

トロイダルコアでトランス等も当然作れます。簡単なDC-DCコンバータなども作ってみると良いのではないかと思います。

なんといっても自作は必要なインダクタンスが自分で作れることです。インダクタを色々揃えていても、調整したい時があります。もうちょっとなんだが、という時に自分で巻いたり減らしたり。
LoRa
2025.03.23
LoRaというのはLong Rangeの略で、遠距離まで届く無線通信のことです。
通信速度は遅いが、遠くまで届くという認識です。

過去の仕事では、LoRaを利用した製品をいくつか作ってきました。
それぞれ違う無線モジュールを使いました。それだけ選択肢があるとも言えます。

いま手元にあるのは、


LoRaモジュール評価ボード
ttps://akizukidenshi.com/catalog/g/g117616/

アンテナ
ttps://akizukidenshi.com/catalog/g/g117618/

この機種は仕事でも趣味でも使った経験はなく、ちょっと試しておこうという段階です。
自宅などでフィールドテストを重ねて、経験やデータを蓄積しておけば、いざ必要になった時に役立つでしょう。

使い方は、細かい設定などをとりあえず考えなければ、単純に送信と受信だけです。ですから一方は送信と受信の信号を折り返し接続しておいて、もう一方をPCにつないで文字を打ち込み、表示されるのを見ると良いでしょう。

LoRaに限らず、無線モジュールは通信距離のテストをしておきたいものです。どのくらい届くものか、その限界は? 障害物の影響はどうか?

広大な工場の敷地を遠くまで歩き回ってテストしたこともありました。

遠距離までというと期待してしまうけれど、やはり電波ですから思ったように届かないことがあります。
基本はお互いに見通しできることです。
スマホに慣れちゃって、どこでも通話できるのが当たり前と思われているというか意識もしないような状態だと思いますが、それは大変な技術の蓄積で実現しているのです。

できるだけアンテナは高く上げて、障害物を避けて・・・と条件をあげていっても現実になかなか良いところは無かったりします。

その工場の敷地でも、建物の陰に入った時に通信が途切れたりしました。再び角を曲がったら復旧したりとか。
その時は、この機種ではなかったんですけど。

アンテナは指定のものを使わなければなりません。無線モジュールとアンテナはセットで技適を通しているからです。
でも、受信専用という条件付きなら感度を上げるためにアンテナを変えることは有りです。受信状況によっては検討してもよいでしょう。

通信距離のテストをひとりで行いたい、というよりも、行わざるを得ない場合があります。

たとえば、一方は折り返しにする。もう一方で送信と受信を確認する。たとえばPCにAと打ち込んだら、電波が飛んでいって向こう側の無線モジュールで受信して送信して、それを受信してAと表示される。

マイコンをつないでプログラムを動かすなら、それでも構いません。固定局側で自動送信して、受信局を持ち歩いてデータを見ます。

さて、この無線モジュールを何に使うかという話ですが、
たとえば農業IoTです。自宅から離れた畑やビニールハウスの温度などを監視したいという用途があるでしょう。

昔々、知人から聞いた話では自宅からビニールハウスまで500mほどケーブルをひっぱって温度を測定したという・・・これはおそらく道路使用上の問題があると思います。
その点、無線なら問題はありません。

温度だけではもったいないので、湿度その他の情報、そして逆にこちらからの遠隔制御も有りでしょう。
温度によって対応しているのか分かりませんが、一日に何度も農家の方がビニールハウスに来てチェーンをひっぱり、開閉操作をしているのを見かけました。これが自宅から出来たらどうでしょう。しかも開閉が出来たことの確認もできれば良いでしょう。
耐久試験の経過
2025.03.23
温度測定を始めたら発見がありました。

いまの時期(3月下旬)では、朝の起動時には5℃から、正午前には(晴れていれば)50℃までケース内部温度は上がっています。

物の、一日の温度変化の幅は意外と広いということです。

気温(外気温、室温)と、物の温度は別です。物のほうが気温より冷えているようです。今朝の時点で外気温は10℃以上のはずです。室温は16℃でした。

こんな細かい事まで観察したことは今までありませんから、興味深いです。

物が冷えているのは、たとえばエアコンの暖房で部屋を暖めても、空気が温まっているだけで机は冷たいままだったりするわけです。

温度計を吊るしておけばそれは気温を示しているのか、って考えるとじつは難しい話になります。
それに直射日光が当たっていても気温でしょうか。違うでしょうね。日光が直接当たらないようにしなければなりません。

温室の計測装置では、管の中にファンで強制的に空気を通して測定しているようでした。
傘を重ねたような形で、通気をよくするのと同時に日よけを兼ねたセンサーユニットもありました。

近々、測定ユニット2号機を仕込むことにしています。今度は温度・湿度・気圧を同時に測定します。

日光で温まってケース内部の気圧は上がるのか、逆に冷えると気圧は下がるのか、そういった疑問もこれでスッキリするかもしれません。

湿度を見ることで、ケース内部に水分が入ったかどうかもわかるでしょう。
屋外器具の防水
2025.03.21
屋外器具の防水、これはノウハウもあると思うけれど・・・

前職では色々やってみたが、なかなか「これは」という結果が得られないまま不完全燃焼で終わっていた。それから十数年。モヤモヤ。

このケースを使えば大丈夫だろう、樹脂で固めれば大丈夫だろう、ではダメなのが現実。

樹脂で固めれば、どこかにヒビが入って水が浸透したり、あるいは電線の内部を通って水が入ってショート。

いくら防水のケースだって、電線やアンテナを出す穴をあけた時点で防水ではなくなる。

そのまま使ったって、雨ざらしにしていれば微妙なスキマから水が入ってくる。呼吸をするからだ。(そこでベントフィルターや水抜き穴が必須)

我々は最初何も知らないまま、完全密閉にしたら大丈夫だろうと考えて物を作っていた。ところが、現場に設置してしばらくすると、結露していたり、水が入ってタップンタップン。

意地になってコーキング材を塗り固めたり、不活性ガスを注入してみたり、シリカゲルの大袋を仕込んでみたり、色々やってみたが結局ダメ。

現場から回収した筐体を傾けてみると、内部からサビ水がドバーと出てきたり、といったサンザンな結果。

水抜き穴がなかったから、水は溜まるだけで逃げないから当然そうなる。

もちろん試作・製造時には、手元で可能な範囲でテストをしたが、現場と同じ条件の再現は難しかった。(恒温槽に入れたり、シャワーで水を数時間かけっぱなしにしたりした)

現実的な解答は、たとえば「お家に入れる」
むきだしで設置するんじゃなくて、別のボックス(工事現場などで仮設電源のブレーカーなどが入っているような、あのような箱)に装置本体を組み込む。
電波を使う装置だと金属の箱に入れたら使えないから、アンテナだけ外に引き出すか、樹脂の箱を使う。

大事な部分(電子回路など濡れたらいけないもの)は箱に入れる。二重構造にする。

基板には防湿処理を施す。これはスプレーとかハケ塗りとかドブ漬けとか色々あるけど、経験を反映すると、何もしないよりはマシ程度の認識。
スプレーは一度じゃなくて、乾いたらまた塗り重ねる。これを数回繰り返す。

電力会社向けの基板を昔作っていたけど、その時は防湿塗料をたっぷり塗り込んだ。当然ながらコネクタ等はマスキングしなければならない。なんでも、電柱上の箱の中で15年動かなければならないって言われた。温度や湿度の要求が厳しかった。

基板を樹脂で固めたって、電線の中を水分が通ってくるだろうし、ヒビが入るので安心はできない。これも経験を反映すると、やはり、何もしないよりはマシ程度の認識。

樹脂も色々ある。柔らかいもの、固いもの。

ガチガチに固めたら、今度は部品にダメージが加わって動かなくなったりした(部品が物理的にガッチリ動かなくなったという意味ではなく、動作しなくなった。機能しなくなった。たとえば断線とか破損)。樹脂は膨張・収縮するから気をつけろ。固まる時に収縮する。わかっていれば当たり前だけれど、意外と見落としている。

弱い部品については、その部分にあらかじめシリコン(電子回路専用のもの)を塗り固めておく。それから固くなる樹脂を流し込む。そうすると、ある程度はストレスを緩和してくれるものと思う。

コーキングを丁寧に塗り込んだって、異種の物質だから一体化するはずもなく、どこかにスキマができる。そこから水が入り込む。

Oリングも試したけど、これは実際に浮きを作って試した限りではうまくいった。但し、円形の筐体やそういった加工じゃないと適用できない。
エナジーハーベストと、耐久試験開始
2025.03.21
TWE-LITEと、エナジーハーベスト電源管理モジュール(そして太陽電池)の組み合わせ、
それに温度センサICを付けて、
全体を防水ボックスに組み込み、屋外に設置(放置?)した。

今日から耐久試験開始!

設置場所は、一応は庇があるけど雨天時は雨をかぶる場所。南向きの場所で、日光がよく当たる。

電波は室内まで安定して届いており、太陽光が十分当たっていれば1分に1回ずつ温度データを送ってくる。

それで実際のデータを見ると、あの防水ボックスの中は正午頃すでに40℃!

室温で約19℃、外気温はもうちょっと低いと思うが、やはり「日なた」で「密閉された箱」の中だから温室と同様。

これが真夏になったら一体何度まで上がるやら、興味深いところ。

実験の目的のひとつに、防水の試験もある。
前職で屋外器具の防水にはさんざん苦労した。これはという結論は出ないままだったが、なんとしてもそれを掴みたい。

このタカチのケースは約3,000円もする。これにベントフィルターを取り付けた。
(趣味なら100均のタッパーでも十分だろう)

完全密閉なら水は入るまい、と単純に考えてしまうけど、実際は水が入る。入るだけでなく溜まってしまう。逃げ場がないから当然だ。

温まった時に膨張し、冷えた時には収縮する。これでわずかなスキマから空気と一緒に水分を取り込んで、内部に溜め込み、結露を起こしたりする、と考えている。
その対策としてベントフィルターを試してみる。
これは空気を通す特殊な膜が仕込んであって、水分は通さない。
適度に圧力を調整することで、外部からの吸い込みを抑えようというわけ。

水抜き穴でも良いと思うが、そこからアリ等が入ってきたりすることがある。網を貼ったりするぐらいなら少々高いけどベントフィルターのほうが良さそう。

そうそう、屋外に置いてある器具や制御盤は、トカゲとか良く入っている。どこから入ったんだろうと思う。入りこんで干からびてしまっているのも見た。
Gも・・・(自主規制)

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