防水の構造
2024.10.21
魚釣りの浮きは、電池を入れてキャップを締めれば、それで防水になる。
高い精度で作られた成形品でピッタリ合い、加えてOリングによって密着している。
使う時には意識しないけど、同じような物を作る立場になると、その細かい点が気になって仕方がなかった。

自分でも真似事をしてみた事があった。10年以上前なので3Dプリンタは持っておらず、市販のアクリル板とパイプを組み合わせて作った。

厚いアクリル板をCNCで削り出してキャップのようにした。Oリングが嵌まる形状は、板の貼り合わせで実現するしかなかった。

粗末なものだったが、これでも十分に防水できた。十分という基準があいまいだけど。大きな水槽におもりをつけて沈めて丸一日放置しても浸水しなかったという程度。

基板を樹脂で固める必要はなく、基本的にはOリングで防水できた。

Oリングなんて書いているけどじつはホームセンターで適当に見繕った水道パッキン。何種類か買ってきて寸法の合うものを選んだ。

電源スイッチは剥き出しにできないから、リードスイッチと磁石を利用した。パイプ外側のアクリルのリングに磁石を付け、パイプ内部にリードスイッチを付けた。クルッと回せばON/OFF
おそるべし接続
2024.10.21
道を歩いていると目撃する事があります。

看板などの電源の配線。

差込プラグを延長ケーブルと接続して、その部分にビニールテープ巻きしただけで転がしている。

自分にとって、それはとても気持ち悪いものに感じられます。

それじゃどうすればいいんだよ。関係ないです。見なかったフリをして通りすぎるだけです。

そんなもので防水にならないのは確かです。

持ち主は、なんで時々漏電ブレーカーが落ちるんだろう?と首をかしげているかもしれません。

自分が見た中での最高傑作は、ある山頂の自動販売機。

もともと室内にあったものを、線をのばして駐車場へ移動したそうな。

自販機の背中に木の板をビス止め!(大胆にも、中身がどうなっているかなんて全く考えてない)

その木の板に、露出コンセント!(屋外だぞ!) そこへ自販機の差し込みプラグ!

しかも一般の方が容易に触れられる場所でした。ここから差込プラグを抜いてスマホ充電するヤツがいたかもしれません。

電気屋の話では、時々漏電ブレーカが落ちるって。当たり前だな。

その後どうなったかは知らない。
防水接続
2024.10.21
地中や水中を通すケーブルを途中でつなぐ事は避けたいものです。
水分が入るとショートするからです。
途中での結線を避けて、濡れない場所まで配線をのばし、そのジョイントボックス内でつなぐとか。

どうしても濡れる場所でケーブル同士をつなぐには?

各社より、そのための用品が販売されています。接続箇所をレジンで固める方式です。ちょろっと検索してみると・・・
3Mのスコッチキャスト、クイックスプライス等
古河電工のレジン注入形ケーブル接続キット
ヘラマンタイトンのレジン注入式ケーブル接続部保護絶縁キット

価格はそれなりにするようです。

昔、自分が経験した現場ではそこまで予算がありませんでした。結線箇所も多いし、どうしたものかと。

テープ巻きしたぐらいでは濡れるとショートします。完全に防げません。

一応考えたのは、小さなビニール袋にシリコンコーキングを流し込み、そこへ電線の結線部を突っ込んで良く揉んで密着させる。袋の口をインシュロックでしっかり締め込む。
プラス・マイナスの結線は同じ袋に入れないで、それぞれ分けて処理を行います。
実際に試したわけではありません。ただ、こんなやり方が一番安上がりかなと考えただけです。
樹脂でかためて防水
2024.10.21
昔、地中埋め込みの器具を数百個作ったけど、水が入ってショートしてしまった。

アルミの円筒形の筐体に基板を入れ、樹脂を流し込めばそれで防水は完璧と、みんなが思っていたわけ。
ところが、結果は水が入ってショート。

樹脂といっても色々ある。ガチガチに固まるもの。ある程度の柔軟性があるもの。
我々が使ったのはウレタン系(やわらかい)だったと思う。さらに、その上にガチガチの樹脂を流し込み、これで鉄壁の守りだと(勝手に)考えていた。

結論を言うと、アルミの筐体と樹脂とは一体化しないから、どこかにスキマができて水が入る。そして、電線からも水がしみこんでくる。
明らかに、樹脂にヒビが入っているものもあった。

基板にヒューズを組み込んでいたが、なんと、電線からしみこんだ水分がそのヒューズの手前の端子部分でショートの原因となっていた。ヒューズの意味なし。

一体化しない、という例として例えばプッチンプリンがある。底のポッチを折れば空気が入り、カップとプリンが分離して離れる。これを当時は例え話にしたけどみんなに伝わってないと思う。

それじゃどうしたらいいのか、というところで行き詰まったりしていた。

おそらく、こういうのはノウハウなのだと思う。どこかの企業はノウハウを持っていて、そんなもの何も悩まず簡単にやってのけてしまうのだろう。だが、そこも最初は試行錯誤だったに違いない。その苦しみの中から獲得した知識がノウハウになったはず。

我々もそれなりに考えて、ヒューズを外部に取り付けよう、そして配線のジョイントをここでやらないで、列ごとに一旦中央部のボックスへ集めて、そこで結線すれば水没しないから問題なかったのではないか、と考えたが、後の祭り。

樹脂成形で一体化した筐体を作れば防水も良かったと思うけど、おそらく上層部がNOと言っただろうし予算もなかった。
使ったアルミ筐体は、上層部がちうごくから値切って買ったものだが、ちうごく人もバカじゃないから検査にはずれた不良品をよこしたに違いない。
センサーライトと防水
2024.10.21
以前センサーライトを設置していた事があるけど、それほど長持ちせず、壊れてしまった。

ソーラー充電式の屋外用、だけど「ち・う・ご・く製」なのでその程度の物だったか。開けてみると明らかに漏水した痕跡と、腐った基板。

これはもともとの作りや品質からして微妙だったんだろう。

10年以上前、自分はLEDのイルミネーション等の設計・製造に関わっていたが、その器具の漏水に悩まされていた。筐体には直接関わっていなかったが、漏水しない構造といったノウハウを我々は持っておらず、試行錯誤を繰り返していた。

だから偉そうな事は言えないんだなー。

水まきのホースで水をかけ続けたりしてテストしたが、その程度では漏水していない。ところが現場に設置して、ある程度の期間が経過すると、水が入ってショートしたりする。

テストの1台だけはしっかりしていて大丈夫だっただけで、製造のばらつきの中でスキマができたりしていた個体があったかもしれない。

意地になってシリコンコーキングで周囲を固めたこともあるが、それでも水が入った。

筐体とは違う素材で一体化しないし、塗り固めたつもりでもどこかにスキマができて、そこからしみこんでくる。

一旦入った水は、逃げ場がないと筐体内部に溜まり続ける。

そして「呼吸」もある。暖められて空気が膨張し、外へ出ていく。冷えると空気が収縮して吸い込む。その時に水分も取り込む。
空気は出入りしても水分は出口がない。従って溜まり続ける。

それなら水抜き穴を付けたらどうか。調湿弁というものがあるので付けたらどうか。改良を重ねた。

もし制御盤のようなものだったら、二重構造にして、大事な基板は別のケースに組み込んだ方が安心。
ケースに組み込んだ上で、さらに、制御盤のボックスに入れる。

直接に雨が当たらないようにすることも大事。

当時、テレビのブースターを例にしてみんなに説明したが、おそらくほとんどの方がブースターを見たことがなくてイマイチ伝わらなかったかもしれない。

ブースターって、アンテナについている方。室内のテレビのそばに転がっているのは、ブースターの電源。

アンテナマストについている箱がブースター本体。
フタを持ち上げたりして簡単に開けることができて、結線できるんだけど、もちろんブースターの回路も見えている。
よくあんな環境に、屋根の上の吹きさらしのところで風雨に耐えられるもんだなと思っていた。

一方で我々の筐体はガチガチに固めて防水しようとしたが、かえって裏目に出たのか、水がジャボジャボ溜まってショートして、中はサビサビという状態。

- CafeLog -